深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
和田誠・村上春樹『ポートレイト・イン・ジャズ』
ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)
(2003/12/20)
和田 誠村上 春樹

商品詳細を見る

 でもたしかに言われたとおりだった。このLPはずいぶん繰り返して聴いたが、どれだけ聴いても聴き飽きしなかった。すべての音、すべてのフレーズの中に、絞っても絞っても絞りきれぬほどの滋養が沁み込んでいた。そして若い人間の特権として、僕はその滋養を余すところなく、細胞の奥にまで吸い取った。そのころには街を歩いていても、僕の頭の中をモンクの音楽がぐるぐるとまわっていた。でも、誰かにモンクの音楽のすばらしさを伝えたいと思っても、言葉で適切にあらわすことができなかった。
 それも孤独の一つのかたちなのだ、と僕はそのときに思った。悪くない。寂しいけれど、悪くない。僕はそのころ、いろんな孤独のかたちをひたすらあつめていたような気がする。山ほど煙草を吸いながら。

和田誠・村上春樹
『ポートレイト・イン・ジャズ』


 知人の家にいったときに、「ポートレイト・イン・ジャズ」のオムニバスCDを聴かせてもらって、ジャズに関心を持った次第。一眼レフといい、流されやすいのも困り者ですが。

 本書はイラストレータの和田誠氏がミュージシャンを選出し描いたイラストに、村上春樹氏がエッセイを寄せるコラボ作品。

 この文庫版には単行本1作目と、2作目がまとめられている上に、書き下ろしも加えられていてお得感がある。挿絵は小さくなってしまうけれど。
 ジャズについては、人物名や代表曲もわからないので、あまりわからないというのが正直なところ。自分でも名前の知っているコルトレーンなんかは選にもれているし。

 とジャズの入門書には向かないかもしれないけれど、村上春樹氏の文章はあいかわらずキザでかっこいい。かたちのない音楽をこれだけ豊かに表現できるのはやはりすごいと思う。

 そして何より村上春樹氏がジャズが本当に好きなんだなというのが伝わってくるのがいい。音楽は若い日の思い出そのもので、血肉となっているんだなという感じがする。

 今はCDも手に入りやすいけれど、ジャケットを抱いて眠るような音楽との関係はなくなってしまっているだろう。その点は寂しいなと思う。


 氏が入れ込んでいるスタン・ゲッツと『ノルウェイの森』を読んだときから気になっていた「ワルツ・フォーデビー」を聴いてみようかなと思います。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://deepseafishtank.blog123.fc2.com/tb.php/186-0cde920a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。