深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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円地文子訳『源氏物語 巻二』
源氏物語 2 (2) (新潮文庫 え 2-17)源氏物語 2 (2) (新潮文庫 え 2-17)
(2008/08)
紫式部

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 大堰では、女君はかえって近くに来られただけに物思いは増すばかりで、捨ててきた故郷の住居も恋しく、つれづれとなすこともないままに、あのお形見のことを取り出して掻き鳴らしていられる。どうにも悲しさの忍びがたい思いに、人の来ない所でうち解けて心のままに弾くと、折も折、松風が気恥ずかしいほどに音を合わせて響き渡った。
 尼君は悲しげにものに寄りかかっていられたが、起き直って、
  身をかへてひとり帰れる山里に
    聞きしに似たる松風ぞ吹く
 と詠まれる。御方も誘われて、
  ふる里に見し世の友を恋ひわびて
    さへづることを誰か分くらむ 

円地文子訳『源氏物語 巻二』「松風」より


 少し間が空いてしまったけれど、円地文子訳『源氏物語 巻一』に続いて『巻二』読了。

 アニメの「源氏物語千年紀 Genji」も見ています。男女の睦み合うシーンが割と多いのには驚きましたがなかなか楽しめています。映像はきれいだけれど、演出が独特で笑ってしまうんですが。

 この旧版版の円地訳源氏には「須磨」から「胡蝶」までが収録されています。「巻一」にも書きましたが、リンク先の復刊された版は6分冊のため収録範囲が異なる可能性があります。
 有名な須磨で過ごす不遇の日々から罪を許され京へ戻り、位階を昇りつめ、邸に女たちを集めていく姿が描かれている。

 不遇とはいっても、すぐに明石の君と結ばれた上に、あっという間に京都へ戻って出世してしまう。あいかわらず完璧すぎてさっぱり共感できない。

 一方、それに翻弄される女性たちの姿が印象深い。身分が低いからと常に控えめにしている明石の君は魅力的。

 そしてその母明石の尼君は、仏に仕える身になりながら、夫の野望からとはいえ夫婦離ればなれに京へ戻らざるを得なくなる。その嘆く姿があわれ深い。


 その他では、昔源氏物語のマンガ版を読んだときに、幼心に強烈なインパクトを残した末摘花の後日譚「蓬生」などが好きだ。

 源氏はあまり好きになれないけれども、関係を持った女性を捨てずにまめまめしく世話していく姿はさすがだなと思う。

 この辺りは大宰府からはるばる夕顔の娘玉鬘を登場させたりする作者の特徴なのかなとも思う。とても1000年も前に書かれたとは思えない。
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