深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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坂井克之『心の脳科学』
心の脳科学―「わたし」は脳から生まれる (中公新書) (中公新書)心の脳科学―「わたし」は脳から生まれる (中公新書) (中公新書)
(2008/11/25)
坂井 克之

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 最近の考えでは、道徳とは論理的判断の結果ではなく、本能的な感情に根ざすものであるとされています。道徳的ジレンマに際しては、喜怒哀楽などの感情をつかさどる扁桃体も活動します(Moll et al., 2005)。実際にまずどうしようかと頭で考えるよりも先に、「うわーっ、いやだ」とか「痛そう……」などと轢かれそうになっている相手の気持ちに対する共感が生じます。とするならば、自動的に働く心の理論と共通したメカニズムを考えてよいのかもしれません。このような感情的要素が先行して、そのあとで、いやでもより多くの人の命が救えたほうが、などと論理的な考えが生じてくるのです。

坂井克之『心の脳科学』


 amazonで『サブリミナル・インパクト』のページを見ているときに、あわせて薦められていて、つい買ってしまった一冊。

 結果的には非常に興味深い内容で買ってよかったと思っている。本書は、東大医学博士の著者が主にfMRIを使った脳画像研究を紹介したもの。

 脳画像研究の手法を紹介したあと、最も研究が進んでいるという視覚に関する実証研究を中心に平易に解説がされている。そして次第に自己とは何か、意識とは何かというテーマまで踏み込んでいく意欲作でもある。
 確かに初めて脳画像研究で実際に活動している脳領域を見せられたときは、かなり強いインパクトを受けたけれど、その脳領域が私たちの心を生み出しているという因果関係がはっきりせず、物足りなく思ったことがあった。

 現時点でもまだそういった面は少なからずあるようだけれども、それ以上にfMRIを使った研究の強みを本書は感じさせてくれる。

 fMRIを使った研究では、ある対象となる刺激を与えた脳の活動状況とそうでない条件の脳の活動状況を減算することで目的とする脳活動を抽出するという。

 そしてはっきりした仮説や方策がなくても、「とりあえずやってみて比べる」ことで意外にうまくいって、興味深い発見につながったりするらしい。

 上に引用した道徳に関する部分は特に興味深かった。道徳のは相手に対する感情移入的なものから生まれてくるのかなと思う。意外と人間は性善説的にできているのかもしれない。

 そして最後に展開される意識に関しての議論もおもしろい。脳科学者らしい唯物論的な考え方がはっきりとしていて印象深い。

 意識というのは脳に局在するのではなく、脳の活動状態を実感した際に生じるような何かなのではないかというのもおもしろかった。意識というのはメタレベル的に存在するということだろうか

 脳研究による心の解明が進むことによる倫理的な危惧も率直に吐露されていたのは意外だった。
コメント
この記事へのコメント
あほか。
道徳が、好き・嫌いで決定されるようなら、世の中、倫理なんて、成り立たないだろうさ。真っ暗だ。馬鹿も休み休み言え。
2012/05/22(火) 20:05:51 | URL | Ojisan53 #iv9wLKAA[ 編集]
Re:
お気に障られたようですみません。
私の切り出し方がまずかったのかもしれません。この前の部分には前頭前野等も活動することが書かれています。感情のみによって左右されるように読めるとしたら私の間違いです。
2012/06/03(日) 23:22:04 | URL | raidou #-[ 編集]
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