深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
エッカーマン『ゲーテとの対話 上』
ゲーテとの対話 上   岩波文庫 赤 409-1ゲーテとの対話 上 岩波文庫 赤 409-1
(1968/01)
エッカーマン

商品詳細を見る

 「木の葉っぱにしたって、寸分違わぬ葉など二枚とないといわれるぐらいだから、千人の人間の中にだって、その心ぐみや思考方法においてぴったり一致する者など二人といないだろう。こうと仮定すれば、敵の数が多いことに驚くというよりは、むしろこれほど多くの友人や味方を持っていることを驚く方が当然だよ。」

エッカーマン『ゲーテとの対話 上』)



 本書は30歳ぐらいの青年エッカーマンがゲーテに出会ってからゲーテが死ぬまでの約十年に渡る対話をまとめたもの。この上巻では筆者の生い立ちからゲーテとの出会い、そして1827年までの交際の内容が記録されている。今はようやく上巻を読み終えたところ。

 下巻の解説によると、ニーチェはルター訳聖書と「意志と表象としての世界」、そして本書の3つに影響を受けたということで有名だったらしい。その他にも多くの愛読者を生む本書の評判を聞き、まだゲーテの青年期までを描いた自伝「詩と真実」も読めていない私だが手にとってみた。

 上の引用は今朝の中日新聞にも取り上げられていたが、この本の中には印象深いゲーテの言葉がいくつも収められている。抜書きしただけでも結構な量になってしまった。


 まず最初にエッカーマンがゲーテまでの生い立ちが数十ページにわたって描かれるのだが、これがおもしろい。商人の息子として生まれた筆者はしっかりとした学問を受けることはできなかったのだが、青年になると絵画に触れ画家に弟子入りする。

 貧窮のために職を得た後、友人に手渡された詩集に感化を受け詩作の道を選ぶが、教養の不足を感じ仕事をしながギムナジウムに通いながら勉強をする。そして、法律を勉強するからと偽って援助を取り付け、職を辞しゲッティンゲン大学に通うまでになる。

 しかし文学と法律の勉強の両立の不可を悟った彼は、法律の勉強を怠け文学に勤しむ。経済的援助を打ち切られそうになり、大学を辞した彼は若手の詩人に向けて書いた論文「詩のために」の出版の便宜を受けるためにゲーテを頼る。筆者を快く迎えたゲーテは、彼に全集の整理を依頼し、二人の親交を深めていくことになる。

 ここを読むだけでも、筆者の情熱的で素直な人柄がよく伝わってくる。そしてその行動力たるや尊敬に値する。ゲーテは比較的誰でもよく褒めたようだが、この若者が現れたときはかわいかったんじゃないかなと思う。その素直さゆえに、ゲーテにいいように使われている気がしなくもなく、滑稽な印象さえある。


 ここに描かれるゲーテは、エッカーマン自身が前書きで断っているように賛美者である彼の目に映ったゲーテ像であったとしても、健康で快活的な人柄が伝わってくる。そしてそこに出入りする人間たちがとても自由に議論を戦わしていて、居心地のよい雰囲気をたたえていて素直にすごいなと思う。

 今後も中巻、下巻と読んでいく予定です。

「伝統的なものや、愛国的なものと袂別したことが、彼(バイロン)のようなすぐれた人物を破滅に導いたばかりでなく、革命的な精神やそれと結びついた心情のたえまない動揺もまた、その才能にふさわしい発展を阻んだのだ。また、不断の反対と否定が、われわれの見ているように、すぐれた作品までも台なしにしてしまっている。つまり詩人の鬱憤が読者にもつたわるだけでなく、手あたり次第に反抗していればどうしても否定的ならざるをえなくなり、否定的であることは、無に通ずる。私が悪いものを悪いといったところで、いったい何が得られるだろう? だが良いものを悪いといったら、ことは大きくなる。ほんとうに他人の心を動かそうと思うなら、決して非難したりしてはいけない。間違ったことなど気にかけず、どこまでも良いことだけを行うようにすればいい。大事なのは、破壊することではなくて、人間が純粋な喜びを覚えるようなものを建設することだからだ。」

エッカーマン『ゲーテとの対話 上』P.187)

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://deepseafishtank.blog123.fc2.com/tb.php/18-62ce9d57
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。