深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
山本七平『現代の処世』
現代の処世―飽食時代の菜根譚 (講談社ビジネス)現代の処世―飽食時代の菜根譚 (講談社ビジネス)
(1986/04)
山本 七平

商品詳細を見る

 順境のときにその危険を意識できなかった同じように、人はなかなかそう思えず、世を恨み、人を恨むようになる。だが、本当はそのときはじめて真の情報が入ってきているのだからそれをそのまま受けとめるべきなのだが、人は、順境のときと逆な形で無情報となる。順境の無情報は周囲の「条件反射的追従」によるが、逆境の無情報は、恨みや怒りによって自ら遮断することによって起こる。

山本七平『現代の処世』


 ここ最近山本七平氏の著作を読めていなかったが、『菜根譚』に関する著作があることを知り、絶版ではあったが探して読むことにした。

 というのも『菜根譚』にはこのブログをつけはじめる少し前に出会い、強い印象を受けたことがあったから。枯れていくばかりの自分自身をこのままでいいのかなと反省するきっかけにもなった。

 ついでにいえばこのブログのタイトルも「鳶飛び魚踊る」という気に入った一節から取ろうと本気で考えていた。
「若い人は素直に読めないのではないか」と著者は語っているが、その通りだと思う。時を得てあれほど強い印象を受けた私でも、改めてその語句に触れていると、そのまま実行したらつまらないのでは?と感じる部分もあった。

 本書はそういった人生の運転教本、常識的な処世法を説いた『菜根譚』を、著者自身の人生に引き付けて取り上げることで、若い人でもできるだけ抵抗なく読めるように紹介しようとしたもの。

 中島義道さんが『人生を〈半分〉降りる』などで提唱しているような、完全に隠遁するのではなく世俗に半分足を突っ込んだような生き方の具体的な方法が書かれているといってもいいかもしれない。

 確かに素直に読めないところもあるかもしれないが、自らの体験に即して語るという著者の配慮のおかげで、とてもおもしろく読める。

 特に戦後校正業をやりながら出版業へと乗り出していくことになる経緯を語った部分が興味深かった。著者を助けてくれたというI社長の姿が非常に印象的。戦中虐待された特高の娘に頼られたとか、末期のエピソードを聞いていると、すごい人物だな、あやかりたいなと素直に思った。


 逆境が人を鍛えるというのは納得できる気もするが、逆境が薬にならないのは世を恨み怒りで目がくらんでしまうからで、言ってみれば落ち込みが足りないのだ、という部分は頭ではわかっても少々手厳しい。

 社会に対して怒りを世を恨むというのは私にとっても身にしみて思い出すところがある。戦場というのはそれほど過酷なところなんだろうなと思う。

 私自身は逆境を薬にすることができていただろうか、これらの処世訓が身につけることができていただろうかと反省させられた。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://deepseafishtank.blog123.fc2.com/tb.php/173-47438b5a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。