深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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阿川尚之『憲法で読むアメリカ史』
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 それでもなお、連邦政府、特に大統領の権限拡大によって、憲法上戦争開始後のアメリカ合衆国は戦前とはまったく違う国となる。戦前唱えられ広く信じられた、合衆国は主権を有する州の自由な連合であり連邦政府は弱い存在であるという理論と現実は、リンカーン大統領の戦争政策遂行によって完全に打ち破られた。そして北部の勝利が目前に迫ると、連邦が主権をもつ独立の存在であり連邦からの離脱が不可能であることを疑う人は、もはやいなかった。ここに初めて、アメリカ合衆国は一つの国家になったとさえ言えよう。

阿川尚之『憲法で読むアメリカ史 上巻』


 これはタイトルが秀逸。ブックオフで上巻を見つけて、そのまま下巻にも手が伸びてしまった。

 本書は駐米公使としてアメリカで活躍している著者が、合衆国憲法の変遷をたどりながら、アメリカの来歴を描いたもの。

 上巻では州の強くばらばらだったアメリカが南北戦争を通じて一つの国家としてまとまっていくまでを描いている。

 下巻では、奴隷解放後の人種差別の問題やデュー・プロセス条項を通してより現代的な人権・経済問題に対応していく過程が描かれる。
 アメリカは州の力が強いというのはよく聞くけれど、合衆国が誕生したときは別の国といってもよいぐらいだったんだなという感じがした。

 それがさまざまな利害対立、議論、内乱を経てシステマティックに一つの国家としてまとまっていく過程はダイナミックで興味深かった。

 特に南北戦争はやはりアメリカにとって忘れられない事件なんだなと思う。奴隷解放した聖人というイメージだったリンカーンも法的にはかなりグレーゾーンを渡っていたんだと印象がだいぶ変わった。

 しかし、それぐらいでなければ大きな変化など起こせないのかもしれないと思う。

 下巻では現在まで続く新しい問題が扱われている点ではより身近だが、手続き的デュー・プロセス、そして法の手続きがいかに適正だろうと奪えない絶対的な権利があるという実体的デュー・プロセスという区別はやや専門的で理解しにくい面もあった。

 任期の長い最高裁判事を少しでも自分に近い考えの人を選び、政策に有利にしようという大統領と司法の緊張関係も日本ではあまりクローズアップされることのない側面で興味深かった。
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