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読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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飯田泰之『歴史が教えるマネーの理論』
歴史が教えるマネーの理論歴史が教えるマネーの理論
(2007/07/27)
飯田 泰之

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 このような、ある政策が成功であったか否かは、何を政策目標と考えるか――より具体的には誰の生活を改善するための政策なのかによって、180度変わってしまいます。これは現代にまで続く大きな問題でしょう。
 1990年代のデフレを生じさせた経済政策は失敗であったと考える人は多いでしょうが、これはあくまで「平均的国民の経済厚生」が政策の目標であるとした場合の話です。
 リストラの心配が薄く、給与金額が低下しにくい産業に勤める人は、1991年から2000年にかけて、定期昇給以外で、15%近い実質的な給与の上昇を経験しています。そして預貯金を中心とした消極的資産運用をしている引退世代にとっても、預貯金の実質的な価値上昇を通じた利得が生じています。
 自身の実質的な所得が上昇する一方で、その他の人びとの経済水準は相対的に低下するわけですから、デフレを容認する政策は(そのような人にとっては)決して「まずい」政策運営ではありません。

飯田泰之『歴史が教えるマネーの理論』


 こちらも意欲的に著作を出している印象のある新進気鋭の経済学者飯田さんの著作で、一度読んでみたいと思っていた。

 本書は昭和の大恐慌や江戸時代の改革、幕末の金流失など、主に日本の歴史に題材をとりながら貨幣の理論について解説したもの。

 主体はあくまでも貨幣の理論を解説することにあり、歴史はその理論を裏づけるためのエピソードとして扱われている。
 物価は基本的にマネーの量によって決まり、そのマネーの量は現在の量とは限らず、将来の期待に大きく左右される。そして為替と金融政策の関係について説明がなされる。

 文章はとても読みやすいのだけれど、内容はなかなかに難しく、きっちりと理解できているか自信がない。

 しかし目から鱗が落ちるような指摘が多くて興味深かった。サービス産業の生産性が低いといわれるのは工業部門のほうが効率的だから、という指摘はあまりにも意外だった。

 貿易財である工業製品と非貿易財であるサービス製品とがあるため、購買力平価のレートと市場為替価格のレートとが一致しないことがあるというのがその理由。

 引用したところはニュートラルな記述ながら、政策運営する人たちへの皮肉にも聞こえおもしろい。
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歴史が教えるマネーの理論作者: 飯田 泰之出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2007/07/27メディア: 単行本 リフレ派の代表的論者である筆者が語る経済史。 もちろん、リフレ派の良いように書かれているのだが、経済史は手頃な書物が少ないこともあり、意外と刺激を...
2010/06/06(日) 23:10:11 | 本読みの記録
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