深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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色川武大『うらおもて人生録』
うらおもて人生録 (新潮文庫)うらおもて人生録 (新潮文庫)
(1987/11)
色川 武大

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 今にして思うと、高校ぐらいまでの学校というものは、知識を身につけるところというよりも、物事を教わる癖、物事を覚えるという癖、そういう癖を身につけていくところなんだろうな。一応、自分をできるだけ白紙にして、基本のところをなんでも素直に呑みこんでいく。知識というよりも、自分が偏頗(かたより)にならないように、バランスを拡げていくところだったんだ。
 (中略)
 ところが、そのあとで、なるべく早い折に、専門課程に進んでからか、あるいは実社会に出てからか、姿勢の大転換をはかる必要がある。基本のところでは自分をできるだけ白紙にして、器を大きく拡げたら、そのうえで今度は、自分にうんとこだわっていく。これは大切なポイントなんだが、ここのところでは、逆に精いっぱい頑固になる必要があるんだ。

色川武大『うらおもて人生録』


 阿佐田哲也名義の『麻雀放浪記』には前から関心があったのだけれど、大部なので手頃なこちらに手をつけてみた。

 本書は劣等生だったと自ら語る著者が、劣等生やその親に向けて、優等生じゃなかったとしても人生をいかにしのいでいくかを語ったもの。

「やくざな世界」に生きてきた人という読む前の身構えはあっという間に解けてしまう訥々とした素朴な語り方が印象的。
 常に勝ち続けることはできない。勝ったり負けたりを繰り返して、結局は0に戻ってきてしまう。勝負の世界でしのぎを削ってきた著者の人生観が背景にある。

 そんな中で、再起不能なダメージを受けるような大負けをなくし、勝てる時に勝っておく。うまくいきすぎていると思ったら、わざと負けにいくことも考える。

 人生論の中でも独特な人生観が展開されている。いかにも勝負師らしい処世術に満ちていて非常におもしろかった。

 おとなしく人見知りだったという少年時代の述懐を聞いて、とても身近な印象で嬉しかった。

 しかし読み進めていくうちに、人間の観察の仕方とか対し方とかに凄みを感じるようになった。やはり「勝負勘」のようなものが全然違うなという気になる。

 一度読んだだけではまだうまく咀嚼できていないところが多い。自分の中で何度も読んでみたい本の一つになった。
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