深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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山本七平『「常識」の研究』
「常識」の研究 (山本七平ライブラリー)「常識」の研究 (山本七平ライブラリー)
(1997/05)
山本 七平

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 人間は千差万別である。親子ですら同一ではない。ということは教師も千差万別である。それは、制度を物神化し固定化し、山のように通達を送りとどけることで解決はしない。その制度にはあらゆる「風穴」があってよい。それなのに、制度を生徒の基本的人権・生存権に優先させ、アジュール法的な「風穴」さえ否定され、「いじめによる自殺」を黙殺するなら、それはもはや「教育以前」の基本的人権・人格権・生存権の問題である。いかなる国家も、またその省庁も人間の生存権より制度を優先させる権利はない。

山本七平『「常識」の非常識』より


 近くの某新古書店では『「常識」の非常識』の文庫本をよく見かけた。買って読んでみたところやはりおもしろく、急いでライブラリー版を借りてきた。

 このライブラリー版には『「常識」の研究』、『「常識」の非常識』、『「常識」の落とし穴』の常識三部作が収録されている。

 私たちの行動規範である常識。常識は社会が大きな変化を遂げたとしても、行動規範が変わらなければ人々の生活はすぐに元に戻っていく。
 しかし誤った前提が常識になってしまえば、人はそれに左右され、非常識な行動をとってしまうという落とし穴にはまってしまう。

 三部作とも国際社会や教育、日本文化といった同一のテーマに対する時評的な短い文章から構成されている。もっと掘り下げて欲しいと思うところもあるが、話題が豊富でおもしろい。

 特に教育について語った文章はあまりお目にかかったことがなかったので興味深かった。一般社会と教育の乖離が大きくなり、生徒にとって教師が偽善者と映るところに問題があるというのはなるほどと思うところがあった。

 偽善に対しては敏感な一方で、現代人は信念には驚くほどナイーヴに反応してしまうという指摘も、身に覚えが多々ある。

 やはりはじめに読んだ『「常識」の非常識』がおもしろさとしては一番だったけれど、『「常識」の落とし穴』の最後で著者が自身の人生観を過去振り返りながら語っているのが何より印象的だった。

 本を読むこと自体が楽しかったのと知的虚栄心から読んだのと半々ぐらいと率直に語っているところ、何のために生きるかと問われても答えられない「人生観のノンポリ」だったというのもとてもおもしろく、親近感の湧く一節だなと思う。
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