深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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間宮陽介『市場社会の思想史』
市場社会の思想史―「自由」をどう解釈するか (中公新書)市場社会の思想史―「自由」をどう解釈するか (中公新書)
(1999/03)
間宮 陽介

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 われわれは、思想というものはある特定の問題に対する一つの解答であることを、ともすれば忘れがちで或る。解答命題のみを思想とみて、その命題を生み出したところの問いを不問に付す。あるいは問いを問題にする場合でも、その問いを特定の問題状況における特定の問いとしてよりは、一般的・普遍的な問いとして捉え、この一般的・普遍的問いにうまく答えたか否かによって、思想の優劣を判定しがちである。最先端の思想は過去の思想に優ると考え、最先端の思想をもって過去の思想の不満をあげつらう。いわゆる現在中心主義の歴史観は、問いについてのこのような見方に起因するといっていいだろう。ポストモダニズムをもってモダニズムの思想を一刀両断に断罪しようとする最近の風潮も現在中心主義の一例である。

間宮陽介『市場社会の思想史』


『物語 現代経済学』に続いて新書で読める経済学史。

 本書はもともと放送大学の「経済思想」テキストだったという。全15回の講義に沿って、経済学の誕生からケインズ以後までの経済思想がまとめられている。

 あとがきで述べられているように、「問題」に焦点をあてていて、市場の変化の中で生じてきた問題にどのように取り組んできたかという視点がとられている。
 ものたりなく思う面もあるが、とてもコンパクトにまとまっている。教科書だったということもあり、スタンダードな感じがする。

 しかし最後の15章では、副題にもなっている「自由」の問題を取り上げ、自由の高揚とその揺り戻しの循環という経済史観が示されていておもしろかった。

 自由それ自体を求めをイデオロギー化してしまうことを戒め、あくまでも社会を形成する前提として自由が必要なのだとしている。自由放任主義と自由主義の違いの説明として参考になった。

 また、繰り返しになるが、あとがきでは状況にたいする問題意識としての思想という面が強調されていて、新しい思想が過去の思想にも優っているとはいえないと述べている部分はなるほどなと思った。

 全体的に節度のある書き方という印象で、よい本だと思う。個人的にはケインズの不確実性や期待、貨幣といった問題を扱った章も興味深かった。
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