深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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吉本隆明『情況への発言全集成3』
「情況への発言」全集成〈3〉1984~1997 (洋泉社MC新書)「情況への発言」全集成〈3〉1984~1997 (洋泉社MC新書)
(2008/05)
吉本 隆明

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 思想の一貫性と、思想を「死に体」として墨守することとは似て非なるものだ。思想の一貫性を保つためには、「現在」というものとの、生きた絶え間のない対決と、葛藤と、融和しようとするためらいが必要なのだ。それが不可避的に<変化>を強いるものだったら、もちろんその<変化>が許容する範囲で発言していれば安心立命で非難されないなどというのは、宗教であっても思想ではない。まして思想の一貫性などとまったくちがうものだ。もちろん<変化>が不可避的なものになっているか、それともたんなる流行や新しがりにすぎないか、その存在根拠を問われることにはちがいない。だがこの二人の尊敬すべき老文学者に欠けているのは、生きいきとした「現在」の対決の強いる<変化>のなかに、思想の一貫性があるという視点だ。じぶんがおっくうになって「現在」の課題を読みきれなくなったことを、自分たちの思想の一貫性とすり替えないでもらいたいもんだ。

吉本隆明『情況への発言全集成3』


 わかっていないながらも読んできたこの「情況への発言全集成」も最終巻。

 本書には1984年から1997年までのものが収録されている。次第に刊行頻度が落ち、終刊に到るのを追うことができる。

 この第3巻では、埴谷雄高や大岡昇平といった文豪、蓮見重彦、柄谷行人、浅田彰といった批評家など、私でさえ名前は知っている有名な人たちを批判している。

 喧嘩腰な調子は変わらないけれども、やはり時代を経るごとに読みやすくなってきているように思う。
 スターリニズムやファシズム、エリート主義やスノビズムに徹底して闘う姿勢を崩さない。そして実際に生活する人の視点を失うまいとしている。

 思想の一貫性と「死に体」の思想を墨守することとは違うというのはなるほどと思う。松岡祥男さんが巻末の解説を「不抜の思想」と呼んでいるのもぴったりだ。

 終刊に際して直接購読者へ向けてのメッセージを読んでいると感動してしまった。途中で投げてしまわずに読んできてよかったと素直に思った。
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