深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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須賀しのぶ『流血女神伝 暗き神の鎖』
暗き神の鎖〈前編〉―流血女神伝 (コバルト文庫)暗き神の鎖〈前編〉―流血女神伝 (コバルト文庫)
(2004/06)
須賀 しのぶ

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 自分が望むものはなんなのか、深く考えたことはない。理由など、いつも邪魔なだけだ。ようやく見つけた宝石に心を注ぎ、それを根こそぎ奪われるあの絶望は、一度きりでたくさんだ。だから、ただすべきことをすればいい。自分にとってはカリエは未だにアルゼウスの影なのかもしれないし、そうでないのかもしれないが、どちらも結果は同じだ。

須賀しのぶ『流血女神伝 暗き神の鎖 中編』
「流血女神伝 暗き神の鎖」全3冊読了。「流血女神伝 女神の花嫁」に続いてシリーズ5作目。

 家督をめぐる争いに勝ち砂漠の国エティカヤの王となったバルアン。新婚生活もそこそこに、バルアンは正妃マヤラータとなったカリエにヨギナ総督を命じた。

 折りしもカリエに妊娠が発覚し、カリエは無事王子アフレイムを産む。しかし女神の娘カリエの体が満ちたことを知ったザカールが動き出す。ザカールの長老クナムであるリウジールの前に、その姉であるラクリゼも歯が立たない。

 夫とも子とも離れ、慣れない総督としての生活に加え、ザカールの脅威に苛まれるカリエ。そしてとうとうアフレイムがリウジールにさらわれてしまう。カリエは全てを捨てアフレイム救出のためザカールへ向かうことを決意する……。

 久々に本編に戻った女神伝。このザカール編では女神の娘という主人公の設定が消化され、重要な位置を占める作品となっている。

 いくら伏線がはってあったとはいえ、結末はやや唐突で物足りない思いが残る。しかし難しいテーマに真正面から取り組んでいるところがすごい。

 もし神によって運命が定められているのなら、なぜ神は人に心というものを与えたのか。生きているだけで他人を傷つけずにおれないのに、なぜそれについて苦しまなければいけないのか。

 人は自分の運命があらかじめ決まっているという観念に耐えることができないのかもしれない。そんなことを思った。

 その他の面では、すっかり物語の片隅に追いやられていたエディアルドが存在感を出していてよかった。自らの心を分析することは苦手だけれど、やるべきことはしっかりわかっていて無骨に行動していく。その姿は清々しく、微笑ましい。


 しかし作者はあいかわらず趣味が悪い。というのは冗談にしても失礼だけれど、この巻ではレイプどころか人肉食の描写まである。すばらしい。

 少女小説は懐が深いなと思うけれど、それは自由に書きたいものを書けるキャリアを作者が積んできたからだろうと思う。枠にとらわれずにがんばって欲しい。
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