深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
山本七平・良樹『父と息子の往復書簡』
父と息子の往復書簡―東京…ニューヨーク父と息子の往復書簡―東京…ニューヨーク
(1991/12)
山本 七平山本 良樹

商品詳細を見る

 徳川家康は「惣て偽にても、実らしく語れば偽がましからず、実にても珍しきことは偽がましく聞ゆるものなり。よりて人は実らしき虚言はいうとも、偽がましき実事は語るべからず」という妙なことを言っている。彼は生涯「実らしき虚言」を言いつづけたのであろう。そうでなければ天下はとれまい。まこと家康らしい言葉だが、この「実らしい虚言」を見抜くのは、細部を見てはじめて可能なのだ。これが現代では、マスコミにだまされない知恵だ。そして家康の言葉は、レーガンでもゴルバチョフでもブッシュでも変りはあるまい。「偽がましき実事」など口にしたらすぐ失脚だから「実らしき虚言」を言ってるだろう。そしてマスコミも同じ原則で、違反すればすぐ部数減となり、テレビキャスターは下ろされるだろう。

山本七平・良樹『父と息子の往復書簡』


『禁忌の聖書学』『静かなる細き声』で印象的な書評を残していた山本良樹氏。父親である七平氏との往復書簡集があると知り読んでみた。

 今になって初めて良樹氏がアメリカの大学に通った後、アウトローな世界に飛び込みながら、詩人として認められるようになったことを知った。

 本書は良樹氏が詩人として登場したことを知った出版社がアメリカにいる良樹氏と東京にいる七平氏との往復書簡を持ちかけたのではないかと思われる。

 詩人となるまでの経緯やアメリカでの様子などを問いかけながら、国際情勢や生き方などさまざまな話題を語り合っている。

 父と子、異なる世代に属する二人、実力と名声を兼ねそなえた神のような存在に挑む新進気鋭の詩人。色んな面を見せる二人の関係がおもしろい。
 金にならないことをしているうちは堕落しない、自分で経験したことを基本的に信じる、細部を見ることが大事。まとまってはいないけれど、前半は聞き役にまわりながらところどころ出てくる七平氏の言葉が味わい深い。

 しかし後半になると七平氏がすいぞう癌で倒れてしまう。沈黙してしまった父に、もっと訊きたいことがあった、引き出したいことがあったと良樹氏の言葉が切実に響いて印象的。一ファンとして共鳴する部分があった。

 そして一度回復した七平氏が「とにかく生きる、生活する」ことがまず大事なんだと語っているのも心に残った。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://deepseafishtank.blog123.fc2.com/tb.php/118-ce6288aa
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。