深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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山本七平『日本資本主義の精神』
日本資本主義の精神 (B選書)日本資本主義の精神 (B選書)
(2006/04)
山本 七平

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 だが、会社種族でない者は、まるで血縁社会における非血縁者のように、そこに何年いようと、生涯をそこで送ろうと、何の権利も認められない。昔、ある出版社に「常勤アルバイト」という制度があった。このアルバイトは社員と全く同じなのだが、十年勤めていても、一片の通告で解雇できた。それは不当解雇でなく、正当解雇なのである。そしてこの差別は当然とされていた。なぜならば、後者は確かに正当解雇だが、前者は血縁集団からの追放に等しく、いわば勘当であり、これはどの社会でも安直にできることではないからである。
 そしてこの種の行き方への反対は、一に、「全員を会社種族とせよ」という反対であっても、「会社種族を解体して全員を同一条件にせよ」ではなかった。すなわち、労働組合の要求も、「機能集団=共同体」への完成へと向かえということだったのである。

山本七平『日本資本主義の精神』


『日本人とは何か』で江戸時代の記述がおもしろく、その時代に育まれたという「日本資本主義の精神」についてもっと知りたく思って読んでみた。

 本書は西洋の資本主義と日本の資本主義が別のものであることを経済の現場にいる人間を実感しながら、誰も日本の資本主義を把握していないとして、その特徴をまとめたもの。

 そしてその資本主義を育んだ思想を江戸時代の思想家、鈴木正三や石田梅岩に求め、最後に日本の資本主義が抱える問題点を洗い出していく。
 日本の資本主義は企業という機能集団が共同体として機能しており、また江戸時代の思想家は労働それ自体を仏行として認めると同時に、それによって得られた利益をむさぼることを戒めた。

 こうして日本にもウェーバーの「プロ倫」に通じるような資本主義の論理と資本主義の倫理が存在したのであり、日本が経済的に成功したのも奇跡ではないという。


 ここで描かれた日本の特徴は今は失われてしまったものもあるかもしれないが、日本の企業の長所と短所の指摘は納得できる部分が多かった。

 日本の企業が共同体として機能しているなら、非正規雇用者が3割を占めているというのも単純に収入や待遇面での格差だけが問題なのではないのだろう。

 そして働いていない人間に対する風当たりは依然強い。その反面、働いているという事実を重視するあまり、その働きの質は問われないという問題はあると思う。

 こうなると江戸時代に不況があったのかが気にかかる。そのとき過去の日本人はどう対処したのか知りたいなと思った。

「美しき品格」という煽りで引いてしまう人がいたらもったいないなと思う。
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