深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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アラン『幸福論』
幸福論 (岩波文庫)幸福論 (岩波文庫)
(1998/01)
アラン

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 なぜなら、幸福や不幸のほんとうの原因を深く考える人間は少ないのだから。そういう人間の思惟は源泉にまでさかのぼる。すなわち理性を敗北させる抗しがたい欲望にまでさかのぼるのだ。そういう人たちは富を警戒する。富は追従に弱くなり、不幸な人びとの言うことが聞こえなくなるからだ。彼らは権力を警戒する。権力はそれをもつ者をすべて、多かれ少なかれ、不正にするものだから。彼らは快楽を警戒する。権力はそれをもつ者をすべて、多かれ少なかれ、不正にするものだから。彼らは快楽を警戒する。快楽は知性の光を暗くし、ついには消してしまうから。だからこういう賢者たちは、見かけの立派な袋をいくつもいくつも用心深く裏返してみるだろう。精神の均衡を失わないように、そして輝かしい運命の中で、さんざん骨を折って獲得し保持しているわずかばかりの正しい判断力を危険にさらすことがないように、絶えず気づかうのである。こういう人間は、だれも欲しないような地味を背負っていくだろう。

アラン『幸福論』


 最近読んだモンテーニュがモラリストの一人に数えられる知り、そのつながりでふと思い立って読んでみた。「幸福論」と題されたのは何年か前にヒルティのものを読んだことがあるだけ。

 アランはペンネームで本人は哲学の教師をしながら、新聞に「プロポ(断章)」を寄稿し続けたという。

 翻訳を少し直訳的に感じてしまって読みにくさを感じたが、半分も読むうちに慣れた。目新しさはないけれど、力強い言葉で語りかけてくる。
 その特徴は何より行動することを勧めていることだろう。立ち止まって悩んでいては症状が悪化する。幸福になるという強い意志で動き出すこと。

 そしてジェームズ=ランケ説のように、幸福なふりでもなんでも、笑って上機嫌になること、その後に幸福はついてくるという。

 愚痴をもらすことで気分が改善するという効果がある一方、自らが吐き出す言葉がさらに感情を昂ぶらせてコントロールできなくなるということもあるだろう。

 そして次のような言葉もその通りだなと思う。覚えておきたい。

 若者たちにとって最大の、最良の阿諛・諛悦は、しかもこれは必ず成功するものだが、それは年配の人たちの前でこの幸福の輝きを、すなわち美を絶やさないことである。

アラン『幸福論』

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