深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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カール・シャピロ、ハル・バリアン『ネットワーク経済の法則』
「ネットワーク経済」の法則―アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針「ネットワーク経済」の法則―アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針
(1999/06)
カール シャピロ、ハル・R. バリアン 他

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 一八〇〇年頃の本の製作者と一九八〇年頃のビデオ制作者は、市場の劇的な成長の可能性を考えようとしなかった。お金持ちのエリート相手の仕事に慣れきっていた出版社は、大衆は何かおもしろい読み物が与えられれば、その読み書きの能力が劇的に向上するということを予見できなかった。ハリウッドの制作者たちは、人気のあるコンテンツがVTR向けに用意されたとき、VTRがマスマーケット向けの製品になるということを認識しなかった。出版社と映画制作者は自分たち「自身の」業界は理解していたが、その補完製品の業界事情を理解していなかったのである。
 制作者が自分たちの知的財産を「守る」ために神経質に「なり過ぎる」傾向が強いのは無理もないことであろう。肝心なのは自分が持っている知的財産における「価値の最大化」であって、保護のための保護ではない。売るときあるいは貸すときに、財産の少しの部分を失うことがあっても、それはビジネスをする上で一種のコストであって、減価償却、在庫損失、廃棄品などと同じようなものである。

カール・シャピロ、ハル・バリアン
『ネットワーク経済の法則』


 本書は情報産業に働いている原則をまとめたもの。「戦略ガイド」ということで経営学的な面も踏み込んでいる。

「トレンドは追いかけない」ということで、文字通り根源的な市場のモデルを追求している。ネットワーク経済とはいってもベースになるのは既存の経済学のモデルである。

 しかし生産には非常にコストがかかる一方、コピーにはほとんど費用がかからないといった面や一度慣れ親しんだシステムからの移行にかかるスウィッチング・コストの高さ、それに伴うロックイン戦略の重要性などが分析されている。

 顧客から得られる利益は、スウィッチング・コストと自社の製品が持つ優位性の合計と考えればいいというのは興味深かった。
 また製品を利用するユーザーが多ければ多いほど利便性も増すといったネットワーク外部性効果の大きさ、そしてそこから生じる独占をどう考えるか、政府や規制との関係なども分析されている。

 たとえ一社の商品が他社を駆逐してしまっても、フェアな競争によって獲得されたものであり、顧客が高機能の製品を安価に得られているなら独占を恐れることはないというのもおもしろかった。

 約十年前の出版ということで、ネットスケープとIEのシェア争いなど話題は古いのかもしれないが、今でも古びていない濃い内容になっていると思う。
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