深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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セルマ・ラーゲルレーヴ『ニルスのふしぎな旅』
ニルスのふしぎな旅〈1〉[全訳版] (偕成社文庫)ニルスのふしぎな旅〈1〉[全訳版] (偕成社文庫)
ラーゲルレーヴ,香川 鉄蔵,香川 節

偕成社
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 ニルスはこんな口げんかを聞いてわらいだした。でも、みじめな自分のことを思いだすと、おかしいどころか、涙がにじんでくる。それでもしばらくすると、またおかしくなってわらってしまうのだった。
 ニルスは日ごろから馬に乗るのが好きだったが、きょうのように早く、あらっぽく乗りまわしたことはない。それに、空の上はこんなにも胸がせいせいすることや、下からは耕土や樹脂のにおいが、こんなに気持ちよくたちのぼってこようなどとは、夢にも思ったことがない。だいいち、こんなに地上はるか高くを飛んでいこうなどとは、まったく思いもよらなかった。こうしていると、ありとあらゆる心配や悲しみや苦しみから逃れて、飛んでいるような気がするのであった。

セルマ・ラーゲルレーヴ『ニルスのふしぎな旅(1)』


『臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ』以来ごぶさたになってしまっているが、大江健三郎は好きな作家の一人だ。単に作品だけでなく、W. B. イェイツフラナリー・オコナーらを知ったのも大江健三郎を通じてであり、大きな影響を受けている。

 そんな大江健三郎が少年の頃に魅了された冒険物語として『ハックルベリー・フィンの冒険』と『ニルス・ホーゲンソンのふしぎな旅』をあげているのは、ノーベル賞受賞講演の「あいまいな日本の私」でも触れられているので、比較的よく知られている話だと思う。

 そんなわけで「ニルス」はいつか読むと決めていたものの、「ハック」に比べると児童書レーベルからしか訳書が出ていない「ニルス」は、文庫版で四分冊ということもあって、なかなか手が出せずにいた。
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