深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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相馬黒光『相馬黒光の広瀬川』
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相馬 黒光

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 家で養蚕をしたり製茶を始めた頃は、父は県庁の小役人を辞めて地方の何とかいう会社に勤めていて留守がちであったから、自然、母一人で先に立ち、雇い人や作男を連れて遠く離れた茶園まで出張し、万事を切り盛りする。自然、一家の全権を握る女主人のように人は母に服し、たまに父が帰っていても父には訊かないで母の指図を求めそれに従うという風で、父は手の出しようもなかったのです。主人でいながら、ちょうど泊り客のような体裁で、自分の用を足してしまえば手持ち無沙汰ですぐにも勤め先へ戻るばかり。何もしないと決めてしまったら、祖父母への土産一つ買って帰る気もつかなかった父でした。「子供たちにはいいとしておじいさまやおばあさまには何か買ってきていただかなければね、あなた」と恨み顔にいった母を思い出します。弟の文四郎の小さい時分、「母ちゃん。お父ちゃんはいつから居候にきたのですか?」と尋ねて皆をあきれさせ、家中顔を見合わせて笑う中に、母は泣いているのか黙って顔を背けました。

相馬黒光『相馬黒光の広瀬川 第2回』より


 年末年始はいつも聴いているラジオ番組も特別編成で休みになるので、NHKラジオの朗読「海賊とよばれた男」を楽しみにしていた。ところが第3回の放送の録音に失敗してしまって当てが外れてしまった。

 そこでたまっている朗読の録音から短いものを聴こうと思って、選んだのがこの「相馬黒光の広瀬川」。去年こちらも同じNHKラジオで放送していた作家の森まゆみの「女のきっぷ」で取り上げられていたことを思い出したからだ。

「切符」を連想してしまって何か物語が始まりそうなタイトルに感じたけれど、ここでは「気風のいい」の「きっぷ」。明治から昭和にかけて活躍した女性の生涯を紹介する番組だった。
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Jack London『The Call of the Wild』
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Nor did he open his eyes till roused by the noises of the waking camp. At first he did not know where he was. It had snowed during the night and he was completely buried. The snow walls pressed him on every side, and a great surge of fear swept through him—the fear of the wild thing for the trap. It was a token that he was harking back through his own life to the lives of his forebears; for he was a civilized dog, an unduly civilized dog, and of his own experience knew no trap and so could not of himself fear it. The muscles of his whole body contracted spasmodically and instinctively, the hair on his neck and shoulders stood on end, and with a ferocious snarl he bounded straight up into the blinding day, the snow flying about him in a flashing cloud. Ere he landed on his feet, he saw the white camp spread out before him and knew where he was and remembered all that had passed from the time he went for a stroll with Manuel to the hole he had dug for himself the night before.

(拙訳) 動き出したキャンプが立てる音によって目を覚まされるまで、バックは目を開くことはなかった。はじめ彼は自分がどこにいるのかわからなかった。夜の間に降った雪が彼を完全に埋め尽くしていた。雪の壁がどの方向からも押し迫り、恐怖が―野生動物が罠に対して抱く恐怖が、彼の身体を這い上がった。これは彼が自分自身の生から先祖の生へと戻りつつある証だった。というのも、彼は文明国に育ち、過度に快適な生活に浸った犬であったから、罠について知ることもなく、ゆえに恐怖を抱くこともなかったからだ。全身の筋肉が発作的に、本能的に収縮し、首から肩にかけての毛が直立する。獰猛なうなり声をあげ、目のくらむ日の光の中に向かって跳び出すと、雪がきらめく雲となって飛び散った。着地もしないうちに、白く染まったキャンプを見て彼は自分がどこにいたかを悟った。マニュエルとともにさまよい出た時から穴を掘って身を沈めるに至るまでの昨晩の出来事を思い出した。

Jack London “The Call of the Wild”


 ハーディの“Far from the Madding Crowd”を読んで、まだまだ一般文学を読みこなすには力不足だということを痛感した。そこで“The Wonderful Wizard of Oz”が読みやすかったことを思い出し、邦訳があっても未読の児童文学を中心に読んでいこうかと思い立った。

 そこで挑戦したのが、大江健三郎が影響を受けたと常々語っている「ニルスのふしぎな旅」の英訳版。ところがこれが想像以上に難物だった。固有名詞はスウェーデン語のままなので読み方がわからず、したがって覚えられない。序盤時系列が前後する部分があり、そこで混乱してしまった。

 大部でもあり、とても読みこなす自信がなくなり、いずれ日本語で読むことに決めてしまった。代わるものを探して iBooks のランキングを眺めていると、目に留まったのがジャック・ロンドンの「荒野の呼び声」だった。
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あけましておめでとうございます2013
 最近はログを残すこともなかなかできないでいますが、あまり負担にならない程度に続けてはいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 思えば、昨年は夏に腰を痛めてから、生活習慣を改めるのに汲々とした一年でした。年中出しっぱなしのこたつテーブルの前に長座、本を読むときはベッドにうつぶせといった長年しみついた部屋での過ごし方をイスとテーブルのスタイルに変えました。

 ただイスとテーブルを用意すればいいと思っていましたが、家具の配置やら冷暖房をどうするかなどなど、色々と考え出すととまらなくなり、大掛かりな作業になってしまいました。以下買ったものの一部を紹介してみます。
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