深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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須賀しのぶ 「桜の夢を見ている」
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須賀 しのぶ

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 舞が終わったとき、ドミトリーは拍手も忘れていた。紫桜(ジーイン)は、嬉しそうに芙蓉を見ている。二人はなにごとか言葉を交わしあい、微笑んだ。その親しげで濃密な空気に、ドミトリーは胸がざわつくのを覚えた。
 それを察したかのように、紫桜の視線が、つい、と動く。黒い目が、ドミトリーを捕らえた。彼女は微笑んだ。あなたのために歌ったのよ。そう言いたげに、たしかに、ドミトリーだけに微笑んだ。

須賀しのぶ『芙蓉千里』
「桜の夢を見ている」より


 図書カードをもらったので、遅ればせながら角川文庫版の『芙蓉千里』を購入してきました。お目当てはもちろん単行本未収録の外伝。

「小説屋sari-sari」で連載されていたときは、「チェリョームハの咲くころ」というタイトルだったそうですが、文庫収録の際に「桜の夢を見ている」と改められています。

 物語の主人公は、フミとともに大陸に渡ってきた少女タエ。第二巻で結婚しヨーロッパへ渡ってしまったことが語られるだけになっていましたが、その事情が詳しく描かれています。
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佐藤謙三(校註)『平家物語 上巻』
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佐藤 謙三

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 さる程に、船出ださんとしければ、僧都船に乗つては降りつ、降りては乗つつ、あらまし事をぞし給ひける。少将の形見には夜の衾、康頼入道が形見には、一部の法華経をぞ留めける。纜解いて押し出せば、僧都綱に取り付き、腰になり、脇になり、長の立つまでは引かれて出づ。長も及ばずなりければ、僧都船に取り付き、「さていかにおのおの、俊寛をばつひに捨てはて給ふか。日来の情けも今は何ならず。許されなければ、都までこそ叶わずとも、せめては、この船に乗せて、九國の地まで」と、くどかれけれども、都の御使、「いかにも叶ひ候ふまじ」とて、取り付き給へる手を引き除けて、船をばつひに漕ぎ出す。僧都せん方なさに、渚に上が倒れ伏し、幼き者の乳母や母などを慕ふやうに、足摺をして、「これ乗せて行け、具して行け」と宣ひて、喚き叫べども、漕ぎゆく船の習にて、跡は白波ばかりなり。いまだ遠からぬ舟なれども、涙にくれて見えざりければ、僧都、高き所に走り上り、沖の方をぞ招きける。かの松浦小夜姫が、唐船を慕ひつゝ領布振りけんも、これには過ぎじとぞ見えし。

佐藤謙三(校註)『平家物語 上巻』「足摺」より


 今年の大河ドラマは平清盛が主役だが、評判が悪いらしい。私も地デジ化以降、部屋にテレビがなくなってしまい、居間まで降りていくのが億劫で見ないままでいる。

 しかし、たまたま見た平治の乱の回は、結構おもしろく見れた。好感が持てる作り方をしているのに、数字が低調というのは残念。

 そんなわけで、NHKでは平清盛関連の番組も多い。ラジオの古典講読では「平家物語」を読み進めており、こちらの方は、私もこの角川文庫版を購入して毎回聴いている。
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