深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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下條信輔『視覚の冒険』
視覚の冒険―イリュージョンから認知科学へ視覚の冒険―イリュージョンから認知科学へ
下條 信輔

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 今、「黒い小四角形」という予想のほうを「合理的」と書いたが、この予想を、もっともっと、疑問の余地がないくらいに決定的にすることもできる。たとえば、黒い四角形が規則的に配列された台紙を用意し、これに自分の手で灰色の円盤をていねいに乗せる。この場合「合理的な予想」とは、自分の直前の行動と記憶を信頼して「黒い小さい正方形」とする以外には、断じてありえない。しかしそれでも知覚の体験的レベルでは、四隅をのぞかせた大きい四角形が「見えてしまう」。認知・思考のレベルの合理的結論を、現象的な知覚の直接体験は臆面もなく裏切って見せる。思考・認知過程からの独立性、と私が呼んでいるのは、このような一面のことなのだ。

下條信輔『視覚の冒険』


 私は昔からイリュージョンを見るのが下手くそだった。ミュラー・リヤー錯視のような誰が見てもわかるものはともかく、少しコツがいるものになるとなかなか見えない。盛り上がる周囲をよそ目に、紙面とにらめっこになってしまうことがしばしばある。

 だから私は視覚の研究にどこかなじめないものを感じていた。しかし、そんな私でも左右二枚の画像を左右それぞれの目で見るようにして重ね合わせるステレオグラムは、子どものころ練習した甲斐もあって、比較的得意なのだ。

 この『視覚の冒険』は、『サブリミナル・マインド』や『サブリミナル・インパクト』と一般向けに心理学の成果を紹介した下條信輔さんが、ステレオグラムで読者を魅了しながら視覚研究の最前線を紹介しようと意図したもの。ステレオグラムなら話にもついていけるかもしれないと思って読んでみることにした。
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高島俊男『漢字と日本人』
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高島 俊男

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 言語学の教えをまつまでもなく、本来、ことばとは人が口に発し耳で聞くものである。すなわち、言語の実体は音声である。しかるに日本語においては、文字が言語の実体であり、耳がとらえた音声をいずれかの文字に結びつけないと意味が確定しない――コーコーという音は「高校」あるいは「孝行」という文字に結びつけてはじめて意味が確定する――のであるから、日本語は「顚倒した言語」であると言わねばならない。
 世界数千種の言語のなかで、日本語は比較的やさしい言語か、むずかしいほうか。また、ごくふつうの言語か特殊な言語か、ということがよく言われる。この「顚倒した言語」であるという点では、たしかに特殊な言語であろうと思う。
(中略)
 そして何より重要なことは、日本人がそのことをすこしも意識していない、ということだ。だから、明治以後の日本人の言語生活のなかで感じがどんなに重要な役割をはたしているかにも気づかない。政府や知識人がくりかえし漢字の削減、ないし全廃を主張してきたのもそのゆえである。いかに重要な役割をはたしているかに気づいていないから、「こんな時代おくれなものはなくしてしまいましょう」と気軽に言えるわけだ。

高島俊男『漢字と日本人』


『お言葉ですが…』シリーズで有名な高島俊男さんの本。何年か前に話題になった新書として覚えている。

 あとがきによれば、本書は「日本における漢字の問題を外国人向けに書いてください」という依頼を受けて書いた文章を新書の形に増補したもの。

 日本での漢字の受け入れの歴史をたどりながら、現代における日本語のありかたを考えていくもの。
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水木しげる『敗走記』
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水木 しげる

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おまえは
二等兵だから
今回のことは
せめない

そのかわり

敵が上陸
してきたら
おまえが
まっさきに進むのだ

いいなァ
まっさきに
突撃する
のだぞ

まっさきに
なあ…… 

水木しげる『敗走記』


 NHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」はやはりおもしろくて、両親が見ているうちに、しだいに私もはまってしまった。それから何年ぶりかにNHKの朝ドラだけは欠かさず見るようになっている。今はBSプレミアムで再放送もされていて、見始める前の回も補完できて助かっている。

 作中でも出てくるが、戦時中ラバウルのジャングルをさまよって奇跡的に味方に合流することができたのに、次の戦闘でまっさきに突撃するように上官に告げられるエピソードは衝撃的で、「敗走記」という作品のタイトルと一緒に強く印象に残っていた。

 ドラマ化の影響はたいしたもので、町の図書館にもいつのまにか収蔵されていることを知って、早速読んでみることにした。
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