深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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朱牟田夏雄『英文をいかに読むか』
英文をいかに読むか英文をいかに読むか
朱牟田 夏雄

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 そこで私は、もう一つの内容的思想的方面の重要さを力説する必要を痛感するのである。英文であろうと日本文であろうと、いやしくも文章である以上は、そこには何らかの思想内容がふくまれている。それも He kiced at the dog. というような場合ならとにかく、多少とも抽象的なことを書いた文章などになると、その文章を書いた人は何か言いたいことがあってそれを書いたにちがいないのである。解釈とは要するにその「言いたいこと」、筆者が何を言おうとしているのかをつかむことである。上に言った機械的公式的知識は、そのばあいの道具にはなるけれども、やはりその道具をつかいこなす腕や頭がなかったら、道具だけそろっていても仕事はできるものではない。あるいは機械的公式的知識は基礎工事のようなものであって、基礎工事のしっかりしないところに上部建築をのせようとしてもうまく行かないと同時に、人間、基礎工事だけに寝泊りするわけにはゆかないことを思い出す必要があると思うのである。

朱牟田夏雄『英文をいかに読むか』


 軽い気持ちでベンジャミン・フランクリンの「自伝」に手を出したところ、思いの外難物で、かなり苦戦してしまいました。

 英語を独りで読むのには、やはりまだ力が足りないのではないかと疑問が湧いてきます。次の作品に挑む前に、また英文読解本を読みたくなりました。

 そこで朱牟田夏雄さんの有名なこの本が安く出ていたので読んでみることにしました。『英語のセンスを磨く』だと思いますが、行方昭夫さんが師と仰ぐ一人とした人であり、あの『トリストラム・シャンディ』の訳者としても有名でしょう。
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林芙美子『浮雲』
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林 芙美子

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 ゆき子は、富岡の軀にあたためられながらも、もっと、何か激しいものが欲しく、心は苛だっていた。こんな行為は男の一時しのぎのような気もした。伊庭との秘密な三年間にも、こんな気持ちがあったのを、ゆき子は思い出している。もっと力いっぱいのものが欲しいといったもどかしさで、ゆき子は富岡から力いっぱいのものを探し出したい気で焦っていた。富岡もまた、女を抱いていながら、灰をつくっているような淋しさで、時々手をのばしては、ビール壜のカストリを、小さい硝子の盃にあけてはあおった。時々、ゆき子も一息いれては、寿司をつまんだ。まだ、夜がいっぱいあるような気がして、寿司を舌の上にくちゃくちゃと嚙みしめながら、ゆき子は、畳の上に火照った脚を投げ出したりしている。夥しい二人だけの思い出がありながら、実際には、必死になってゆくほど、相反する二人の心が、無駄なからまわりをしているに過ぎないのだった。これからの、先途について、二人は語りあうでもなく、一切の現実を忘れて、ひたすら昔の情熱を、もう一度呼び水する為の作業を試みているようなものであった。時々、二人は力が抜けるような淋しい気になり、この貧弱な環境のせいなのだと、そっと、お互いに鼻を寄せあって、相手の息の臭さにやりきれなくなっているのだった。

林芙美子『浮雲』


 林芙美子というと作品の『放浪記』の方が有名で、むしろ森光子さんの舞台との絡みで語られることがほとんどだと思う。

 先日、NHKのラジオで「若い女性」という、当時の女性たちの質問に答える林芙美子の肉声を聴いた。今まで彼女の作品を読んだことはなかったけれど、率直に回答する感じや貧しい幼少時の思い出やそこから培った考えに心を惹かれた。

 小林多喜二の『蟹工船』を聴いて朗読も思ったより楽しめるとわかったので、これもラジオでやっていた『浮雲』を聴いてみることにしたのだった。
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新年明けましておめでとうございます
 ここ最近は更新が滞っておりだめだなと感じつつ、なかなか思うにまかせません。記事を書く時間を捻出するよう、生活を見直す一年にしたいものです。

 昨年は心理学のとてもいいブックガイドがが出版されいたということを最近知りました。それがこの本で、1500円足らずと値段が手ごろなこともあり、早速取り寄せてみました。これをもとに色んな方面に手を伸ばしても面白いかなと思っております。

心理学の「現在」がわかるブックガイド
心理学の「現在」がわかるブックガイド

 その前に読みかけのものが何冊かあるので、それを片付けないとなというところですが、今年もよろしくお願いします。
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