深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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須賀しのぶ『北の舞姫 芙蓉千里2』
北の舞姫  芙蓉千里II北の舞姫 芙蓉千里II
須賀 しのぶ

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「ロートス、こっちを見なさないな」
 エリアナの腕が伸びて、長い指が顎をつかむ。むりやり顔をエリアナのほうに向けられて、唖然とした。あまりの無礼に怒鳴りたかったが、青い瞳にひたと見据えられて、できなかった。
「人との時間に永遠はないのよ。必ず期限がある」
「……わかっています」
「いいえ、わかっていない。人と人は、本当に突然終わるわ。いろんな形でね。そしてその時を迎えてしまったら、もうどんなに努力しようが、無駄なのよ。神さまは、どんなことにも必ず期限を設けている。だからいつまでもこのままでいいなんて、思わないことね。あなたが本当に、これで満足しているのなら、それでもかまわないけれど」

須賀しのぶ『北の舞姫 芙蓉千里2』


 待望の『芙蓉千里』の第2部となる新刊が出ていたので、さっそく読んでみた。幼く見える可憐な少女がピストルを持つ装丁も倒錯的な感じでよかった。

 前作では、女郎屋という女の地獄のような場所で矜持をもって生きる華やかな女の世界を描いていたが、第2部ではきな臭い前線で花柳界に咲く花として、政治や歴史の中へ深く関わっていくとともに、人の心を揺さぶる芸術としての舞を求めていく姿が描かれる。

 そういった意味では、前作から雰囲気は大きく異なる。シベリア出兵という、暗い歴史の影に隠れた事件を背景に、波乱を含んだ怒涛の展開が待っている。
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中村博司『大人のサイクリングビギナーズ』
大人のサイクリングビギナーズ 新版―自転車ライフを楽しむ! スポーツ自転車ライフを始める人に愛車選びから旅行の仕方ま (ヤエスメディアムック 291)大人のサイクリングビギナーズ 新版―自転車ライフを楽しむ! スポーツ自転車ライフを始める人に愛車選びから旅行の仕方ま (ヤエスメディアムック 291)
中村 博司

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 これまで私は「ペダルを踏む」「ペダルを回す」「ペダルを押す」といった表現を使ってきた。これらの表現のうち、どれが正しいかといえばどれも正しい。ペダルはクランクに取り付けられているので正確に真円に回るが、ペダルは軸で支えられていいるので踏面の角度は常に変化している。脚の力を自転車の推進力に変えるために、それをどのようにペダルに加えるかが非常に重要で、ペダルの位置によって「ペダルを踏む」「クランクを回す」「ペダルを押す」などさまざまな力の加え方をしなければならないのだ。


中村博司『大人のサイクリングビギナーズ』


 こちらも河村健吉『自転車入門』で紹介されていた本。ムックのため絶版になっていたため、アマゾンのウイッシュリストに入れておいたままになっていたが、最近だいぶ安くなっていたので購入してみた。

 こちらは『大人の自転車入門』の著者の一人でもあった中村博司さんによる自転車を始める人へ向けたガイドとなるもの。

 中村さんはシマノに勤めながら、レースにも参加するなどしていて、今は大阪にある自転車博物館サイクリングセンターの事務局長をしている方らしい。
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シモーヌ・ヴェイユ『自由と社会的抑圧』
自由と社会的抑圧 (岩波文庫)自由と社会的抑圧 (岩波文庫)
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 真の自由を規定するのは、願望と充足の関係ではなく、思考と行為の関係である。はたす行為のいっさいが、めざす目的と目的達成にみあう手段の連鎖とにかかわる先行判断から生ずるとき、その行為者は完全に自由だろう。行為じたいの難易のほどは重要ではない。成功で飾られるかどうか否かさえ重要ではない。苦痛と失敗は行為者を不幸にすることはできても、行為の機能をみずから掌握している行為者をはずかしめることはできない。

シモーヌ・ヴェイユ『自由と社会的抑圧』


つい最近、ヴェイユの『根をもつこと』に挑戦してみたことを書いた(『根をもつこと 上巻』『根をもつこと 下巻』)。難解でうまく消化できていないものの、ヴェイユの高潔な人柄には強く惹かれるものがあった。

 そこで『根をもつこと』の理解の助けになるかもしれないと思い、もうひとつの主著といわれる、この『自由と社会的抑圧』を読んでみることにした。

 この短い論考は、1934年、ヴェイユが25歳のときもので、20世紀の人々が希望を託した「革命」というものの内実を問い、人間が抑圧から解放されうるのか、真の自由とは何かということを考察していくもの。
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