深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
池波正太郎『男の作法』
男の作法 (新潮文庫)男の作法 (新潮文庫)
池波 正太郎

新潮社
売り上げランキング : 961

Amazonで詳しく見る

 今度、タクシーに乗ったときにだね、やってごらんなさい。運転手が、お客さんが百円くれたとなれば、たとえ百円でもうれしくなって、
「どうも済みません、ありがとうございます……」
 と、こう言いますよ。
 そうすれば、その人がその日一日、ある程度気持ちよく運転出来るんだよ。それで、おおげさかも知れないけれど交通事故防止にもなるんだよ。少なくとも、次に乗るお客のためになっているわけだ。みんながこういうふうにして行けばだね、一人がたとえ百円であっても、世の中にもたらすものは積みかさなって大変なものになるわけだよ。どんどん循環してひろがって行くんだからね。
 だから、そのことを考えて実行することが、
「男をみがく……」
 ということなんだよ。
 ということは、根本は何かというと、てめえだけの考えで生きていたんじゃ駄目だということです。多勢の人間で世の中で世の中は成り立っていて、自分も世の中から恩恵を享けているだから、
「自分も世の中に出来る限りは、むくいなくてはならない……」
 と。それが男をみがくことになるんだよ。

池波正太郎『男の作法』


 その昔、三国志の映像作品に魅せられた私は、歴史小説ばかり読んでいた時期があった。

 当時の私にとってのヒーローは、司馬遼太郎であり吉川英治であって、池波正太郎はおもしろさの面では少し劣ると思っていた。というのもはじめて読んだ池波作品が『幕末新選組』で、『新撰組血風録』や『燃えよ剣』に比べれば、もの足りないと思っていたから。

 しかしそれが大きな間違いであったことは、何年も後に『『幕末遊撃隊』を読んで思い知ることになる。幕末期、一陣の風のように散っていった隻腕の剣士伊庭八郎を描いた、この作品は一人の男がどのように生きるかということを描いた快作だった。

 残念なことに、興味が次第に文学へと移っていった時期ということもあり、読み終えた池波作品は数えるほどしかない。『鬼平犯科帳』ぐらいは読みたいと常々思ってきたが、『マネー・ボール』でふれたまとめブログで、『うらおもて人生録』と一緒に出てきていたので、心惹かれてこの『男の作法』を読んでみようと思った。
[池波正太郎『男の作法』]の続きを読む
スポンサーサイト
マイケル・ルイス『マネーゲーム』
マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫)マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫)
マイケル・ルイス,中山 宥

ランダムハウス講談社
売り上げランキング : 4619

Amazonで詳しく見る

 スカウト業界にはポールの興味をそそる特徴がいくつかある。第一に、野球経験があるスカウトはつい、必要以上に自己経験と照らし合わせて考えようとする。自分の体験こそ典型的な体験だと思いがちだが、実際はそうでもない。第二に、スカウトは、選手のいちばん最近の成績ばかりを重視する傾向がある。最後にやったことが次にやることだとはかぎらない。第三に、目で見た内容、見たと信じ込んでいる内容には、じつは偏見が含まれている。目だけに頼っていると錯覚に陥りやすい。誰かが錯覚に惑わされているとき、現実を見据えられる別の人間にとっては金儲けのチャンスだ。野球の試合には、目に見えない要素がたくさんある。

マイケル・ルイス『マネーゲーム』


 前から評判を聞いていておもしろそうだなと思いつつ読まずにしまっていたこの本。最近、はてブにあがっていた2ch のまとめブログ(【教養】もっと早く読んどきゃよかったという本)で名前があがっていて、やはり読んでおこうと思い直した。

 かつて将来を嘱望されたメジャーリーガーだったビリー・ビーンという男が、失意の現役生活を送った後、オークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャーに就任し、チームを快進撃させることになる。その理由に迫ったドキュメンタリー。

 本の表紙には「不公平なゲームに勝つ方法」とも書かれており、資金の潤沢な球団が有名選手をかき集める中で、経営の苦しい弱小球団アスレチックスがなぜ勝利を収めることができたのか、というとても興味深い問題を本人への直接の取材に基づいて解き明かしていく。
[マイケル・ルイス『マネーゲーム』]の続きを読む
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。