深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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ドナルド・C・ゴース、ジェラルド・M・ワインバーグ『ライト、ついてますか?』
ライト、ついてますか―問題発見の人間学ライト、ついてますか―問題発見の人間学
(1987/10)
ドナルド・C・ゴースG.M.ワインバーグ

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 ビリーをはじめ、関係者みんなが間違ったのは、問いが重要なら答えも重要であるはずだ、と思い込んだためであった。「そうじゃないんだ。」とビリーは心もうつろに郵便箱を空けながら、ひとりごとをいった。「全然そうじゃないんだ。問題を扱う上で本当に大事なのは、問いは決して答えられることがないと覚悟することなんだ。だがそれは、問い続けている限りは、どうでもいいことなんだ。だまされて究極の解答を得たと思い込むのは、まんまとだまされて究極の問題定義、つまり究極の、真の答えを得たと思い込んだときに限るんだ。で、そう思ったとしたら、それは必ず間違いなんだ。なぜなら『究極の解答』なんてものは存在しないからだ。

ドナルド・C・ゴース、ジェラルド・M・ワインバーグ
『ライト、ついてますか?』


 コンサルタントの方やSEの方たちには、かなり有名らしい本書。図書館の心理学のコーナーでふと目に留まったので手にとってみた。

 サブ・タイトルが「問題発見の人間学」となっているように、本書は解くべき問題は何か? その問題の本質は何か?ということを考察していくもの。

 タイトルはトンネルを通った車にライトの消し忘れをなくすために出口に掲げたメッセージからとっている。
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『葉隠』
葉隠〈1〉 (中公クラシックス)葉隠〈1〉 (中公クラシックス)
(2006/06)
不明

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葉隠〈2〉 (中公クラシックス)葉隠〈2〉 (中公クラシックス)
(2006/07)
不明

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 一、わが身にかかわる重大事は、不動の決意をもって腹をすえ、まっしぐらに突き進んでやってのけないと、決着のつかないものである。大事の起きたとき、一々、人に相談していては相手にされない場合が多く、人が本当のことを言ってくれないものだ。このようなときにこそ、自分の決断が必要なのである。まず自分を熱しきった状態において、生命を捨てると決心すればそれでよい。こういうときに、うまくやろうと思うと、すぐ迷う心が出てきて、たいてい仕損じてしまうことになる。多くの場合、味方の人が、自分のためを思ってしてくれることがかえって仇となり、贔屓の引き倒しとなってしまうことがある。『葉隠 1』


『死ぬことと見つけたり』の本編はもちろんおもしろかったが、『葉隠』がおもしろてはいけないのか?と問いかける「まえがき」が心に残った。

 それまで『葉隠』にあまりいい印象を持ってなかっただけに気になって、早速読んでみることにした。

 本当は原文が収録されているものがよかったけれど、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」の一節を読んでも私にとってはかなり難解なので、現代語訳されたこの中公クラシックス版に落ち着いた。
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円地文子訳『源氏物語 巻5』
源氏物語 5 (新潮文庫 え 2-20)源氏物語 5 (新潮文庫 え 2-20)
(2008/10)
紫式部

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 かの大将の君は、長年の慣行で、秋の深まる頃は宇治へお出かけになるのだったが、今も寝ざめごとに亡き人のことが忘れられず、悲しいことばかりお思い出しになるので、宇治の御堂が出来上ったとお聞きになると、御自身でお出かけになった。久しく御覧にならなかったこととて、山の紅葉も珍しくご覧になる。取りこわしたもとの寝殿の後に、今度は新しい寝殿が晴れがましく建っている。昔はひどく質素に、いかにも聖めいたお方のお住居らしかったことを思い出すと、亡き八の宮の御事が恋しく思い出されて、模様替えをしたことも残念に思召すので、常よりはいっそうしみじみと御覧になる。昔の宮のお住居は、御仏を安置して大そう荘厳であったし、別棟のほうは、姫君たちのために女らしく細々と調度を整えるなど、二通りに分けて設えてあったのが、その網代屏風や何やかやや無骨な調度は、今度の御堂の僧房のものにと特に寄進なさった。そして寝殿のほうは山里にふさわしい調度類を特別に作らせて、それほど質素でもなく大そう清らかに奥ゆかしくお造り上げになった。
 大将の君は、遣水のほとりにある岩にある岩に腰掛けておいでになったが、急には立ち上りかねて、
  絶えはてぬ清水になどか亡き人の
    面影をだにとどめざりけむ
 と涙をぬぐって、やがて弁の尼君のほうへお立ち寄りになると、尼をお見上げするなり、こみ上げる悲しみを堰きかねて、ただひたすら泣いている。

円地文子訳『源氏物語 巻5』「東屋」より


 またまた間が空いてしまったしまいましたが、ようやく円地訳源氏物語全5巻を読み終えた。過去の記事はこちら(巻1巻2巻3巻4)。

 読み出すきっかけになった「源氏物語千年紀 Genji」はとっくに終わってしまったけれど。ちなみにアニメは須磨の辺りで中途半端に終わってしまいましたが、おおむねよかったと思います。

 この旧版版最終巻には「早蕨」から「夢浮橋」までが収録されています。ちなみにリンク先の新版は6分冊のため、まだ続きます。
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今野緒雪『マリア様がみてる リトルホラーズ』
マリア様がみてるリトルホラーズ (コバルト文庫 こ 7-62)マリア様がみてるリトルホラーズ (コバルト文庫 こ 7-62)
(2009/07/01)
今野 緒雪

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 珍しく近所の本屋にコバルト文庫の新刊がすぐに並んでいたので買ってきました。

「ハローグッバイ」で一応の完結をみたシリーズですが、短編がたまっていたこともあり、復活となりました。

 姉妹編の「釈迦みて」も微妙な気持ち悪さと熱血な展開で悪くはないんですが、やはり物足りない感じはあるので嬉しいところです。

 新しく薔薇の館に加わった菜々の視点で、3年生になった祐巳たちの姿が描かれる表題作をのりしろに、「いなくなった人」をテーマにした短編5作が配されています。

 以下ネタバレ含みます。
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中島義道『「私」の秘密』
「私」の秘密―哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ)「私」の秘密―哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ)
(2002/11)
中島 義道

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「開かれた問題」は現実的に閉じることはできない。ただ、精緻に誠実に記述していくことによって、その言語の全体がわれわれの実感に訴え「なるほどそれが私なんだなあ」とわれわれに納得させればいいのです。
 カントは、(マニアックな論理構築物を捏造することも多いのですが)ある程度の作業に成功している。彼は多数の発話者が同じ「私」という言葉を使う場合、そこに共通項として対象的な何かがあることを徹底的に批判する。それに代わって彼が提案しているのは、「私」という言葉の共通項は、独特の「形式(Form)」だということです。

中島義道『「私」の秘密』
『人を〈嫌う〉ということ』で触れられたような私生活の秘密を暴露した本なのかしらんといささか野次馬的な気持ちで手にとった。

 実際は、「私」とは何か、という問題について考察していく哲学書だった。

 予想とは違ったけれど、『カントの読み方』はかなり難解だったので、その補完になればいいなと思って読み出した。

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