深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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中島義道『人を〈嫌う〉ということ』
ひとを“嫌う”ということ (角川文庫)ひとを“嫌う”ということ (角川文庫)
(2003/08)
中島 義道

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「前科者!」とか「人殺し!」とか「私生児!」とか「オカマ!」とか「インポ!」とか「片端!」とか「パンパン!」とかとかの言葉を投げつけられた当人は、常日頃そのラベルの不当性に激しく抗議しているはずなのに、とっさに他人からこうした言葉の矢が飛んできたとき、平静ではいられない。頬は熱くなり、心臓の鼓動は速まる。こうした身体の変化をもって、自分がその言葉を引き受けていること、そしてそうした自分に羞恥心を抱いていることを承認している。つまり、頭でどう思おうと、身体全体で反応する羞恥心を通じて、こうした呼称が自分に貼られる正当性を承認しているのです。それがまったく不当であると感じているのなら、生じるのは怒りだけであって、羞恥心ではないはずですから。

中島義道『人を〈嫌う〉ということ』


 年末、プリンタを借りようと妹の部屋に入ると、目についたのがこの本。また変なものを、と思ったら、著者が中島義道さんで吃驚。

「あの子も人間関係で悩んでるのかしらん」と要らぬ心配を抱きながらも、嬉々として拝借してきた次第であります。

 本書は文字通り、「人を嫌うということ」が自然なことであり、またどこまでも理不尽なものであり、その気持ちを見つめ付き合っていくことを説いたもの。
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榛野なな恵『Papa told me 第1-27巻+街を歩けば』
Papa told me (1) (ヤングユーコミックス (013))Papa told me (1) (ヤングユーコミックス (013))
(1988/02)
榛野 なな恵

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Papa told me~街を歩けば (クイーンズコミックス)Papa told me~街を歩けば (クイーンズコミックス)
(2008/04/18)
榛野 なな恵

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違う歌を聞く   違う夢を見る

それでもいつか 同じひとつの空の色を
思い出してしまうかもしれないけど

そんな時は
少しずつ背を向けて 微笑みましょう
        私たちは

誰のものでもない
私たちは

榛野なな恵『Papa told me 7巻』


 先日家に帰るとダンボールに一箱の少女マンガが置いてあった。近所で家の建て替えがあるということでもらったらしい。

 その中でも目を惹いたのが「Papa told me完全版」という白くて大きな本。ふと手にとったのが運の尽き、全部読みたくなり27巻+1巻を探し求める結果になった。

 もちろん運の尽きどころか、この作品に出会えたのはとても幸運なことで、新年早々今年のベストに推したくなるほど、すばらしい作品で多くの人に読んで欲しいなと思います。
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山本七平『現代の処世』
現代の処世―飽食時代の菜根譚 (講談社ビジネス)現代の処世―飽食時代の菜根譚 (講談社ビジネス)
(1986/04)
山本 七平

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 順境のときにその危険を意識できなかった同じように、人はなかなかそう思えず、世を恨み、人を恨むようになる。だが、本当はそのときはじめて真の情報が入ってきているのだからそれをそのまま受けとめるべきなのだが、人は、順境のときと逆な形で無情報となる。順境の無情報は周囲の「条件反射的追従」によるが、逆境の無情報は、恨みや怒りによって自ら遮断することによって起こる。

山本七平『現代の処世』


 ここ最近山本七平氏の著作を読めていなかったが、『菜根譚』に関する著作があることを知り、絶版ではあったが探して読むことにした。

 というのも『菜根譚』にはこのブログをつけはじめる少し前に出会い、強い印象を受けたことがあったから。枯れていくばかりの自分自身をこのままでいいのかなと反省するきっかけにもなった。

 ついでにいえばこのブログのタイトルも「鳶飛び魚踊る」という気に入った一節から取ろうと本気で考えていた。
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下條信輔『サブリミナル・インパクト』
サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)
(2008/12)
下條 信輔

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 近くは注意を向けた対象の変化を、わずかでも敏感に検出するのが特に得意なのです。親近性へのチューニングが、新奇なものの検出を助けたことになります。この「新奇なものを検出する」機能は、時間軸上、または空間軸上での「ポップアウト」現象(特に目立つものが「飛び出して」見えたり聞こえたりする現象)と言い替えることもできます。そうです、「地」から「図」が飛び出す仕組みに他なりません。地と図が互いに相手を強調し合うように、親近性と新奇性も相手を強調し合う仕掛けになっています。
 つきつめていくと、この世のあらゆるものは親近性と新奇性を併せ持っています。遭遇する状況まで考えれば純粋に同じものというのは考えにくい。逆に一〇〇パーセント、細部まで新奇なものだったら、今度こそ知覚できないはずです。
 このように親近性原理と新奇性原理とは、(字面の上では矛盾しても)知覚の生態学的な機能においては、必ずしも矛盾しないのです。

下條信輔『サブリミナル・インパクト』


 下條信輔氏の新しい新書が刊行されていたので急いで購入し読んでみた。

 東大の教養課程での心理学講義をベースに、「人は自分で思っているほど、自分の心の動きをわかっていない」をキーワードにして認知心理学や社会心理学の知見をわかりやすくまとめた『サブリミナル・マインド』。

 意識というものが人の内部で完結するものではないのではないかという問題を提起した意欲作『〈意識〉とはなんだろうか』。

 この2冊の新書を読んだときの衝撃は大きかった。眉唾だと思っていたアフォーダンスに関心を持つきっかけになったのも下條氏の著作だし、私に「心理学って思ったよりおもしろいな」と感じさせてくれた一人。
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今野緒雪『マリア様がみてる ハローグッバイ 』
マリア様がみてるハローグッバイ (コバルト文庫 こ 7-60)マリア様がみてるハローグッバイ (コバルト文庫 こ 7-60)
(2008/12/26)
今野 緒雪

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『卒業前小景』を読んだときの予感した通り、祐巳・祥子編は完結ということで、10年以上続いた「マリア様がみてる」シリーズも一区切りとのことです。

 私にとってはアニメ化されたのをきっかけに、生まれて初めて手にとったライトノベルのシリーズで感慨深いものがあります。

 なんだかんだいってもコンスタントに一定の質を維持していく力量はすごいと思っています。最後まで書ききってくれことに感謝。

 例のごとく以下ネタバレありです。
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中島義道『人生を〈半分〉降りる』
人生を「半分」降りる―哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫)人生を「半分」降りる―哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫)
(2008/01/09)
中島 義道

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モラリストは自然にスノッブ(snob)となります。スノッブの定義は難しい。一種の俗物なのですが、世の中で価値あるとみなされていることすべて(あるいはほとんど)に対して抵抗しがたい崇拝の感情をもち、それを崇め奉ることにトンと自尊心が傷つかない人、とでも言えましょうか。しかし、こうした単純な形態から始まって、自分自身の卑劣さを自覚してそれを隠そうとする態度、反抗する態度、無関心を装う態度……と複雑化し、さらには単純なスノッブを装う態度にまで発展して、とどまることがない。これは社会文化的に劣勢にあるものの運命的態度なのです。

中島義道『人生を〈半分〉降りる』


 あけましておめでとうございます。吹けば消えそうな弱小ブログですが、今年もマイペースに続けていけたらいいなと思っています。


 新年一発目からこのタイトルか、という感じもしますが、どうしようもなく惹かれてしまったので。『カントの読み方』を読んで自我論に突っ込んでみようと思ったものの、なかなか歯ごたえのある著作だったので、少し読みやすそうなものをという意味でも。

 本書のような氏のエッセイ的な著作は口調が厳しく苦手でもある。しかし本当は我が意を得たりというタイトルに惹かれ読み始めても、自らの中途半端さを思い知らされて、居たたまれなくなるからかもしれない。
[中島義道『人生を〈半分〉降りる』]の続きを読む
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