深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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ジェフリー・ムーア『ライフサイクルイノベーション』
ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーションライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション
(2006/05/16)
ジェフリー・ムーア

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 生産性向上は企業の進化において必須の要素だ。生産性向上により、他のイノベーションのためにより多くの資源を投入できるようになるからである。生産性向上のためには、既存プロセスの再構築にフォーカスしたイノベーションが必要だ。既存プロセスの深い理解や新しいツールの活用が必要になる。そして、各プロジェクトが単独で投資に見合うだけの利益を上げられるよう資源の調整を行うことにフォーカスが向けられる。通常、これは予算と要員のカットという形で行われる。多くの企業が不得意とするのは、生産性向上により余剰になった資源を別の目的に割り振ることだ。多くの場合、経営陣はレイオフや資産の償却を行ってしまう。しかし、これは従業員にとっても社会にっても好ましくない選択肢であり、将来における不信の種を植え付けることにもなりかねないきわめて高価かつ非効率なアプローチだ。イノベーションのこうかを継続的に享受するためには、より健全な選択肢を選ぶことが重要だ。

ジェフリー・ムーア『ライフサイクルイノベーション』


 ネット上では著者の「キャズム」という言葉を目にすることも多く、おもしろそうなので手にとってみた。

 私にとってはイノベーションというと無から新しいものが創造されるイメージが強い。

 しかし本書はそれが間違いであり、市場の成長サイクルに応じたイノベーションがあることを論じたもの。

 ハイテク商品市場やアメリカの大企業をベースに議論がなされるのでややなじみが薄くはあるけれど、事例が豊富で助かる。

 本書では、基本的な概念を紹介した後、シスコ社を対象に、詳細にその戦略を分析している。
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モンテーニュ『エセー(3)』
エセー〈3〉 (ワイド版 岩波文庫)エセー〈3〉 (ワイド版 岩波文庫)
(2002/07/16)
ミシェル・エイクム・ド モンテーニュ

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 この思想は、私が天秤の銘につけたように、「私は何を知ろうか」という疑問のかたちで表せばいっそうはっきりする。

モンテーニュ『エセー(3)』


岩波文庫版の「エセー」三巻目読了。ようやく折り返し。

 一、二巻は断章形式をとっていたのに対し、この巻は「レーモン・スボンの弁護」という論考に一巻が費やされている。

 レーモン・スボンは15世紀スペインの神学者で、理性に基づく信仰を説いたらしく、モンテーニュ自身がその著作の翻訳も行ったらしい。

 白水社のクセジュ文庫の由来となっている「私は何を知っているのか?」という上に引用した一句が有名。「この思想」というのはピュロンという懐疑主義の哲学者の流れを汲む思想のこと。
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山本七平『日本はなぜ敗れるのか』
日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21) (角川oneテーマ21)日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21) (角川oneテーマ21)
(2004/03/10)
山本 七平

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 だがこの状態は、何も戦前の日本だけの特徴ではない。戦後もさまざまな「合理的」な組織体制を輸入した。そしてそれらは全く同じ形をとっている。自分で憲法をつくったものは、自分で改定できる。しかし輸入してこれを「権威」としたものは改定できない。同時に、「輸入よりきびしくしていればよい」であり、また、自分の方がきびしいから自分の方が本物の「民主主義」だ、である。だがその国家組織の末端は、市民の日常の常識とも気質とも必ずしも合致せず、従って、常識で国政の運営を見ていれば、政治家は全て、過去の軍人の如くに非常識な存在に見えてくる。

山本七平『なぜ日本は敗れるのか』


 本書は、第二次世界大戦を振り返りながら日本が敗れた理由、抱える問題点を考えていくもの。

 著者は、戦時中技術者としてフィリピンに赴き捕虜となった小松真一さんの「虜人日記」という記録をベースに議論を進めていく。副題の「敗因二十一カ条」も小松さんが挙げたもの。

「虜人日記」は米軍の捕虜となっていた時期に乏しい資材の中で書き綴られたもの。著者はこの記録を同地性と同時性、そして読者に働きかけるものでないという点から、最も事実に即した記録だとする。
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デイビッド・コープランド、ロン・ルイス『モテる技術』
モテる技術 (ソフトバンク文庫NF)モテる技術 (ソフトバンク文庫NF)
(2008/07/17)
デイビッド・コープランドロン・ルイス

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 女性にとって、恋は独自の、非常に個人的なもので、親密な感情と愛に満ちた経験である。女性にとって、恋は一種の「空想的」なものである。女の子は、ごく小さいうちから恋に憧れを持ち始めることがしばしばで、そのため男性のロマンチックな申し出に応える心の準備も整っているのだ。子供向けの本や、ときには漫画にさえも、女性が男性に口説き落とされるシーンや、勇敢で大胆不敵な男性に助けられたり、城の塔から救い出される。女性は、男性に求愛されることを望み、期待するように社会によって育てられてきたのである。男性の中には、この現実に異議を申し立てる者もいる。しかし著者はこの現実を受け入れ、女性との関係をより良いものにし、より多くの女性にモテるようになるために利用しようと考えているのだ。あなたに異論があるなら、いくらでも反論してくれればいい。けれども、あなたがモテる男になりたいのなら、常にロマンチックな演出を心がけることの大切さを知っておかなくてはならないのだ。

デイビッド・コープランド、ロン・ルイス
『モテる技術』


 作家の滝本竜彦さんは一時期自己啓発本を読み漁っていたという。その滝本さんが以前どこかですすめられていて、興味を持ったので読んでみた。

 著者たちは女性にモテるには技術が必要であり、それを習得しさえすれば誰でも女性と付き合えるようになるという。本書はその技術をまとめたマニュアル本。

「多くの女性とセックスして人生を楽しもう」といかにも軽い感じだけれど、上から目線で語るような不快なものではないので、決して嫌いではない。
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鶴見俊輔『読んだ本はどこへいったか』
読んだ本はどこへいったか読んだ本はどこへいったか
(2002/09)
鶴見 俊輔

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 サンタナヤには自叙伝三巻があり、その中で彼は「人間はだれしも難破船」だと書いた。そしてその崩れた形を見据えることで、その人が何をしようとしていたか、その航海は何を目指していたかを見る力を育てた方がいいと言う。それは、私には、もうろくを切り口に自分の思想を見るという道筋を開けてくれているように見える。もうろくを自覚し、手足が自分の考えについていかなくなったところから逆に、自分の思想をとらえる方法があるはずだと、今思っている。

鶴見俊輔『読んだ本はどこへいったか』


 図書館でタイトルが気になって手をとってみると、以前から名前を聞いていた鶴見さんの本だったので読んでみることにした。

 引用した「プロローグ」部分のように、本書は著者が読んだ本がどのような形で残っているかを語りおこしたもの。

 著者は以前タイムカプセルのように本を埋めたことがあったが、防水を怠ってぼろぼろになってしまったことがあるという。この経験を老いのメタファーとして語っていてとても印象的。
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小泉吉宏『ブッタとシッタカブッタ(3)』
ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにあるブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある
(2003/05)
小泉 吉宏

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 自分を笑いなさいな
 深刻になると
 人生を見誤るよ

小泉吉宏『ブッタとシッタカブッタ(3)』


『ブッタとシッタカブッタ(1)(2)』に続いて三巻目。とりあえずこの巻でシリーズは一区切りのよう。

 前巻と同様、悩めるブタ「シッタカブッタ」を主人公にした四コママンガが収められている。

 前半はゲシュタルト心理学などを下敷きに、人間の物の見方が「正確」でないこと、先入観に捉われていることなどがわかりやすく描かれている。

 後半はこれまでの巻で描かれた「そのまんま」というテーマにもう一度取り組んでいる。禅問答のような感じがおもしろい。
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モンテーニュ『エセー(2)』
エセー〈2〉 (ワイド版 岩波文庫)エセー〈2〉 (ワイド版 岩波文庫)
(2002/07/16)
ミシェル・エイクム・ド モンテーニュ

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 さて、われわれはひとりで生き、道連れなしで行こうという以上、自分次第で満足できるようにしよう。自分を他人に結びつけるあらゆるつながりから引き離そう。自分の上に、本当にひとりで、安楽に生きる力を獲得しよう。

モンテーニュ『エセー(2)』


 岩波文庫版「エセー」6分冊の2冊目。一巻はこちら(モンテーニュ『エセー(1』)。

「英文法に強くなる」で知ったことだけれど、エセーとは試論という意味らしい。やはり日本のエッセイという言葉からイメージされるのとは少し違い、「~について」という考察が並ぶ。

 この第二巻は第一巻に比べ、私にとっては時代的な興味しか感じない細かい伝聞的な章が減って、より普遍的なテーマを扱ったものが多くなったように感じられ、楽しんで読めるようになってきた。
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行方昭夫『実践 英文快読術』
実践 英文快読術 (岩波現代文庫)実践 英文快読術 (岩波現代文庫)
(2007/12)
行方 昭夫

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A:If I laugh at everything, I must laugh at us too.
E:Certainly you must. We are figures of fun alright.

A:何もかも笑い飛ばすとすると、自分たちのことも笑うのね。
E:もちろんさ、ぼくらもお笑いの対象さ。

ノエル・カワード「私生活」より


 行方さんの新巻が出ていたので読んでみた。

 本書は同じ岩波現代文庫から出ている『英文解読術』の続編的な位置づけ。あとがきでも触れられているように、難易度的にも同等だろう。

 実践という名の通り、ノエル・カワードの「私生活」という戯曲を読み進めていく。元々ちくま文庫から『英語のこころを読む』として出ていたものを改稿したらしい。
 

 最初の数十ページで戯曲を読む際に注意すべき点を解説し、「私生活」の本文を一約ページ、注釈、訳と繰りかえしていく。そして最後に付録として著名な作家のエッセーからの抜粋が収められている。
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林信孝『英文法に強くなる』
英文法に強くなる (岩波ジュニア新書)英文法に強くなる (岩波ジュニア新書)
(2002/07)
林 信孝

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 このように,主語の動詞に依存して,時間関係が表される場合は,相 aspect といいます.それに対して,どこにあっても,話し手の話している時点との関係を独立に示すものは,時制 tense といいます.英語には相もありますが,時制のほうが基本的です.なぜなら,次のひとことルールがあるからです.

 主語をとる場合 動詞は時制をとる

 (中略)
 従って,日本文に「た」があるから英文は過去形,というのは,ルールとしては単純すぎるわけです.

林信孝『英文法に強くなる』


 何となく手にとった本書だけれど、ある意味ジュニア新書らしい濃い内容。隠れた良書の一つだと思う。

 文法は必要ないという人はいるけれど、ネイティブならぬ私たちには文法というルールを学ぶ必要があると著者はいう。そして文法を学ぶことは人間の精神にも迫ることができるのだと。

 ここで使われている英文法というのはやや意味が広く、ルールとして取り出せるものは文法として扱われている。
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佐々木高政『英文解釈考』
新訂・英文解釈考新訂・英文解釈考
(1980/03/20)
佐々木 高政

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 そうしたいわばがむしゃらな訓練を他から課されまたは自ら課して始めて英語における言葉の結びつき具合がわかって来る.読んでいて聴いていて次に来るべき言葉がある程度「予測(anticipation)」できるようになる.この「予測」ができるようになるまでには相当の努力の積み重ねが必要であるが決して不可能事ではない.そのもっとも手取り早い道は,言葉の牽引力にしょっぱなから注意することである.この内容をこの言葉を使って言い始めたらそれが次にどのような言葉を呼び出し,更にそれが...といった表現の可能な回路を考えることに頭を向けることである.表現の機微に絶えず目と耳を向けることである.

佐々木高政『英文解釈考』


 30年近く前から版を重ねている英文解釈を扱った本の中でも有名な一冊。

「文」の構造、「文意」の織りなし、「叙述の様式」と「修辞」、叙述の展開の4部から構成されている。

 上に引用した「はしがき」の部分でも明らかのように、英語を理解する際に日本語を介さず、発信者のさまざまな特徴からその意図を理解するような高い英語力を想定している。
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ウィリアム・サローヤン『ディア・ベイビー』
ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
(1986/07)
ウィリアム ギブスンウィリアム・ギブスン

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 昼間の暗がりが、夜の帳に変わったとき、私は帽子をかぶり、外へ出た。霧の中、町へ向かって歩く私のあとを、大きな辛抱強い犬のように、私の心がついてくる。町に着くと、友人である何人かの若者たちを見つけ、痛ましい限りのすすり泣きよりも、もっと悲痛な、死のような笑い声の中で、私たちは、食べ、飲み、話し、歌った。その間思い浮かぶのは、あの娘のすすりなきの愛らしさだけだった。

ウィリアム・サローヤン「はるかな夜」


 以前から気になっていた作家サローヤンの短編集。本書には長くても三十ページほどの短編が21編収められている。

 サローヤンはアルメニア系のアメリカ人作家。「訳者あとがき」によると、楽観的な作風が多いらしいけれど、この短編集にはやや暗いトーンのものが多いということだ。

 登場する人物は普通の人々だし、描かれる出来事も突飛なものでなく、文体も平易で、とても読みやすい。

 その反面、最初はおもしろいけれど淡々としているなと思った。そしてやや作り物ぽい印象が拭えなかった。
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