深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』
ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)
(1986/07)
ウィリアム ギブスン、ウィリアム・ギブスン 他

商品詳細を見る

「あんたにも何かを憎ませようってのかもね」
「おれは奴が憎いのかも」
「あんた、自分自身を憎んでるのかもよ、ケイス」

ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』


 サイバーパンクといえばこれというぐらいに有名な作品。

 電脳空間に没入し情報を盗むカウボーイ・ハッカーだったケイスは依頼主から盗むという禁忌を犯し、神経毒により能力を失ってうらぶられた生活を送っていた。

 そんな彼の前にモリィとなる女性が現れ、ある男のもとに連れて行く。ケイスは電脳空間へ没入できるようになる治療を代償に男の依頼を受けることになる……。

 あまり世界観や設定の説明などは行われず、物語はどんどんと進行していく。それでも何となくわかるのは「攻殻機動隊」などの映像作品のおかげだろうか。
[ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』]の続きを読む
スポンサーサイト
小泉吉宏『ブッタとシッタカブッタ(1)(2)』
ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにあるブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある
(2003/05)
小泉 吉宏

商品詳細を見る

ブッタとシッタカブッタ〈2〉そのまんまでいいよブッタとシッタカブッタ〈2〉そのまんまでいいよ
(2003/05)
小泉 吉宏

商品詳細を見る

 不安な時って
 意識の焦点がつい
 不安なこと ひとつに しばられがちになる
 意識の焦点がひとつにしぼられると
 そこばかり気になって
 どんどん苦しくなっていく

 意識の焦点をしぼらないで
 意識を頭の中から外へ
 世界や宇宙
 人生全体へと広げていくと
 心はおだやかになっていく

 意識を広げてものを見ること
 それは「そのまんま」を見ること

小泉吉宏『ブッダとシッタカブッタ(2)』


 各所で評判がよさそうだったので手にとってみた。とりあえず二巻まで読了。

 このシリーズは悩める豚シッタカブッタを主人公にした四コマ漫画。恋や人間関係の悩みをどういうふうに捉えるかを考えている。

 そういった悩みや苦しみは、自分の考えから生み出されているのではないか。もっと「そのまんま」の自分を見つめれば楽になるのではないか。

 一巻の「十牛図」を下敷きにした「十猪図」やタイトルからは仏教を思わせるし、二巻は老荘的な感じを受ける。とはいっても小難しいところはほとんどなく気楽に読むことができる。
[小泉吉宏『ブッタとシッタカブッタ(1)(2)』]の続きを読む
ロバート・アルベルティ、マイケル・エモンズ『自己主張トレーニング』
自己主張(アサーティブネス)トレーニング―人に操られず人を操らず自己主張(アサーティブネス)トレーニング―人に操られず人を操らず
(1994/05)
ロバート・E. アルベルティマイケル・L. エモンズ

商品詳細を見る

 要するにアサーティブ行動とは、自己を前向きに肯定しつつ、人を尊重することです。こうした行動は、人生における個人的満足感を満たし、さらに人との関係をよくします。自己表現の能力が増した直接の結果として、いくつかの調査から、次のような事実が生じています。自尊心が高まる。ふさぎ込むことが克服される。人からより尊敬されるようになる。人生の目的により近づくことができる。自己理解が深まる。人とよりうまくコミュニケーションできるようになる。もちろん、これらの結果をすべてあなたに約束することはできませんが、これらの実績は確かなものです。

ロバート・アルベルティ、マイケル・エモンズ
『自己主張トレーニング』


 時々耳にするアサーティブという言葉。『はじめての応用分析』で、自己主張の概説書としてこの本が推薦されていたので、ふと思い立ち手にとってみた。

 アサーティブネスを辞書で引くと文字通り「主張」というような意味になるらしい。ここでは引用した部分のような意味で使われているが、未だになじめない言葉ではある。

 威圧的に相手に従わせるのでもなく、受動的に相手に従うのでもない。自分のいいたいことはしっかり表現しながら、良好な関係を維持するというようなことらしい。

 邦題は直接的なものになっているが、原題は「Your Perfect Right」となっている。このように自己主張することは権利なのだという意識があるらしい。
[ロバート・アルベルティ、マイケル・エモンズ『自己主張トレーニング』]の続きを読む
東山紘久『プロカウンセラーの聞く技術』
プロカウンセラーの聞く技術プロカウンセラーの聞く技術
(2000/09)
東山 紘久

商品詳細を見る

 医師に診てもらう人は、医師の専門性に自分をゆだねてしまい、自分がおかしいと思っても、医師が異常なしと診断すると異常がないと思ってしまいます。医師は異常所見がでなければ、異常なしと診断し、治療はしません。最大限でも、主観症状に対する対症療法をするだけです。しかし、異常なしと思うことができず、いろいろな病院を渡り歩く患者さんもいます。
 これに対して、臨床心理士は当人が訴える以上、けっして異常なしとは言いません。「思いすごしです」とか「気のせいです」とも言いません。臨床心理士は心の専門家ですから、「その人の心は、その人にしかわからない」ことを知っているからです。臨床心理士も心理テストを使って、心がどのレベルで病んでいるかを検査することがあります。しかし、それがわかったからといって治療法が変わるわけではありません。心の治療法は、すべて心のケアしかないからです。

東山紘久『プロカウンセラーの聞く技術』


 著者は来談者中心療法の研究で有名な人らしい。目当ての本が図書館になかったので、代わりにこれを借りてきた。

 本書はカウンセリングも行っている著者が、聞くことの大切さやポイントとなる部分をまとめたもの。一般向けに書かれていて読みやすい。

 人は誰でも話したい欲求を持っている。その一方で、本当に他人の話を聞くことは意外と難しいものであり、疲れることなのだという。
[東山紘久『プロカウンセラーの聞く技術』]の続きを読む
エドワード・デシ、リチャード・フラスト『人の伸ばす力』
人を伸ばす力―内発と自律のすすめ人を伸ばす力―内発と自律のすすめ
(1999/06/10)
エドワード・L. デシリチャード フラスト

商品詳細を見る

 随伴的な愛情や尊敬を統制の手段として用いると、取り入れを促すだけでなく、人々が自分自身を随伴的に評価するようになるという、さらに悲惨な結果をもたらす。彼らは、他者からの愛情と尊敬を得るために外的な要求に添って生きなければならなかった。それと同じように、今彼らは自分自身からの愛情と尊敬を得るために、取り入れられた規範にしたがって生きなければならないのである。彼らは、取り入れられた規範からの要求どおりに行動したときにだけ、価値ある人間だと感じることができる。私のkる哀婉とが父親への怒りを表現したとき、彼は価値のない人間であると感じたのだった。そうした随伴的な自己価値観のため、彼は取り入れられた規範の支配から逃れることができなかった。それはあまりに強力で、ほんのちょっと抵抗しようとしただけでも、ほとんど麻痺したようになってしまったのである。

エドワード・デシ、リチャード・フラスト『人を伸ばす力』


 市川伸一氏の著作で勧められていたので読んでみた。著者は内発的動機づけの研究で有名な人。

 内発的動機づけとは、何かのために活動を行うのではなく、意欲・やる気からその活動自体へ動機づけられること。

 本書では内発的動機づけを解説する一方、その観点から教育や人間関係のあり方、自由といった問題にも踏み込んで提言を行っている。
[エドワード・デシ、リチャード・フラスト『人の伸ばす力』]の続きを読む
ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』
百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))
(2006/12)
ガブリエル ガルシア=マルケス

商品詳細を見る

「王様の埋葬に立ち会うためだ」
 そこで一同はホセ・アルカディオ・ブエンディーアの部屋へはいってゆき、力いっぱい体をゆさぶったり、耳もとでどなってみたり、鼻の穴のまえに鏡をおいたりしてみたが、彼を目覚めさせることはできなかった。少したって、大工が棺桶を作るためにサイズをはかっていると、黄色い小さな花が雨のように空から降ってくるのが窓ごしに見えた。それは、静かな風が襲ったように一晩じゅう町の上に降りそそいで、家々の屋根をおおい、戸をあかなくし、外で寝ていた家畜を窒息させてしまった。あまりにも多くの花が空から降ったために、朝になってみると、表通りは織り目のつんだベッドカバーを敷きつめたようになっていて、葬式の行列を通すためにはシャベルやブレーキで掻き捨てなければならぬほどだった。

ガルシア=マルケス『百年の孤独』


 時間のある今のうちに読んでみようかと、ようやく手にとってみた。

 マコンドという架空の町を舞台にマコンドとそこに居付いたブエンディーア家一族の興隆と滅亡を描いた作品。

 最新の版では家系図が付いているらしいが、私が読んだのは古い版なので、同じような名前の人物が次々と登場するので混乱してしまった。
[ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』]の続きを読む
吉本隆明『ひきこもれ』
ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)
(2006/12/10)
吉本 隆明

商品詳細を見る

 ひきこもりの傾向のある人は、暗いとか話が盛り上がらないとか、あいつと一緒にいても気心が知れなくて面白くないとか、そんなことを言われているかもしれません。もし、それがコンプレックスになっている人がいたとしたら、それは決して悪いことなのではないのだということを覚えておいてください。
 あなたは、明るく社交的ではないかわりに、考えること、感じて自分で内密にふくらませることに関しては、人より余計にやっているのです。それは、毎日毎日、価値を生んでいるということなのです。

吉本隆明『ひきこもれ』


『喪男の哲学史』などでも触れられていて著者には関心があったのだけれど、タイトルに惹かれて読んでみた。

 著者については少し前に『親鸞 決定版』も手にとってみて面白い部分もあったのは確かだが、親鸞についての知識があまりなく、よくわからなかったのが正直なところ。

 しかし本書は同じ著者ながらかなり読みやすく書かれていて、一時間もあれば読み終わることができると思う。

 ひきこもりを何とか外に出さねばというのが常識だが、ひきこもり気質の人は昔からいるとし、病気でなければ問題ないという。そして自らもそういった気質の一人と擁護している。
[吉本隆明『ひきこもれ』]の続きを読む
Rayond Carver『Where I'm Calling from』
Where I'm Calling from: New and Selected Stories (Vintage Contemporaries)Where I'm Calling from: New and Selected Stories (Vintage Contemporaries)
(1989/06)
Raymond Carver

商品詳細を見る

She says, I forgive you.

Raymond Carver「Intimacy」



 ブログを始めた頃に、「収集」について少し書いたが、ようやく読了することができた。

 読み始めたのが10月からなので、500ページ強に4ヶ月半かかったことになる。途中さぼっていたとはいえ、やはり洋書はコストパフォーマンスがいい……。

 本書には、レイモンド・カーヴァーの代表的な作品が40篇弱収録されている。ほぼ年代順に収録されているので、カーヴァーの歩みをたどることができる。

 カーヴァーの文章は短いものが多いので、割と読みやすい英語なのではないかと思う。ただ口語表現や麻薬に関するスラングなども多いので難しく思う部分もあった。
[Rayond Carver『Where I'm Calling from』]の続きを読む
P.A. アルバート、A.C. トールマン『はじめての応用行動分析』
はじめての応用行動分析 日本語版はじめての応用行動分析 日本語版
(2004/05)
ポール・A. アルバートアン・C. トルートマン

商品詳細を見る

 異常と思える行動がどのようにして形成されたのかその経過を追及するのは、このケースに限らず、簡単にはいきませんが、そのような行動が現在の環境状態によって維持されており、環境を変えることで行動が変わるかも知れないと考えることは、単に節約的であるだけでなく、かなり見通しを明るくさせるものです。生徒たちの不適切な行動を維持している環境条件を探し当てて、それを改善しようとする教師ならば、子どもたちが知恵遅れだろうと、脳障害、情緒障害、多動、学習レディネスの未熟だからといって子どもたちのことをあきらめてしまったりはしないでしょう。生徒たちの行動を、ゲルファンドとハートマンやハーセンとベラックが指摘しているように、「説明のための空想話」で説明してしまうより、子どもたちの状態をそのまま、過剰な行動(よく動き回る)が見られる、あるいは何々の能力が欠けている(ほとんど読めない)というように記載すれば、教師はもっと、過剰な行動を抑えて欠けている能力をおぎなうことに焦点を合わせて考えるようになるでしょう。

P.A. アルバート/A.C. トールマン
『はじめての応用行動分析』


 本書は応用行動分析の入門書。かなり大型の本で1ページ二カラムと、本格的なテキストになっている。

 日本版のタイトルはニュートラルなものだけど、原題は "Applied Behavior Analysis for Teachers" と教職につく人を対象にしている。

 ということで実際の教育場面で、行動分析を生かしていく方法を伝えるもの。行動目標の設定やデータの取り方などテクニカルな部分に半分近くが費やされている。
[P.A. アルバート、A.C. トールマン『はじめての応用行動分析』]の続きを読む
ウィリアム・ブリッジズ『トランジション』
トランジション―人生の転機トランジション―人生の転機
(1994/11)
ウィリアム ブリッジズ

商品詳細を見る

 私がこれらの例で転職を強調しているのは、人々がよく「夢を実現する方向に動けないのは、お金や時間の問題があるからだ」というためである。しかし、このような例は、人々が思っているよりはるかに多い。最近まで直線的人生、生涯一つの仕事というイメージが一般に支配的だったので、いかに多くの人が成人期の間に完全なやり直しをするかということが見過ごされてきた。ましてや、そのような転換点から、しばしば重要な業績が生み出されてきたことは、ほとんど知られていない。

ウィリアム・ブリッジズ『トランジション』


 以前、「訳者あとがき」でもその名前が登場する金井壽宏氏の著作を読んだときに勧められていて、気になっていたので読んでみた。残念ながら今は絶版の模様。

 本書は主に成人以降に訪れる人生の転機の特徴や構造を探っていくもの。就職や結婚、出産あるいはもっと見えにくいものなど、きっかけはそれぞれに異なっても、それらには共通する面がある。

 それは何かが終わり、停滞した時期があった後、また何かが始まるという三つの段階を経るということである。

 著者はこの時期の特徴を自身が行っているセミナーの参加者たちの事例やユング、エリクソンの発達段階、文化人類学から語っていく。
[ウィリアム・ブリッジズ『トランジション』]の続きを読む
友野典男『行動経済学』
行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)
(2006/05/17)
友野 典男

商品詳細を見る

 しかし、ここで強調しておくべきことは、本章であげたような問題で間違えたり、経済人とは違う決定をすることが多いというのは事実であっても、そこから「人は合理的でない」という、人間の非合理性を決めつけるような結論を安易に出すことは(実際にそのような文献も見られるが)、はっきり言って間違いである。
 人は、完全に合理的ではないが、そこそこは上手くできるという意味で「限定合理的である」と言うのが一番適切である。

友野典男『行動経済学』


 本書は行動経済学の入門書。経済学で一般に仮定する合理的に行動する経済人ではなく、感情を持ち、純粋な計算とはちがう方策を取ることもある限定的な合理性を持った人間の特性を経済学にも反映させようという領域。

 第一章が「経済学と心理学の復縁」となっている通り、ヒューリスティクスやゲーム理論などの心理学の本を読んでいてもよく出てくる言葉が使われている。

 最後のほうではダマシオのソマティック・マーカーや心の理論まで出てきて驚いた。かなり学際的で幅広い知識が要求される学問のようだ。

 色んなクイズやを用いて人間の意志決定場面における認知特性や行動傾向を解説しているのでおもしろい。クリティカル・シンキング系の本が好きな人も楽しんで読めると思う。
[友野典男『行動経済学』]の続きを読む
モンテーニュ『エセー(1)』
エセー〈1〉 (ワイド版 岩波文庫)エセー〈1〉 (ワイド版 岩波文庫)
(2002/07/16)
ミシェル・エイクム・ド モンテーニュ

商品詳細を見る

 私は最近、いくらもない余生を平穏と隠遁のうちに送ることにして、できるだけ他のことに心を煩わすまいと決心して自分の家に退いたが、私の精神を、完全な無為のうちに過ごさせ、自分のことだけを考えさせ、自分の中に安住させること以上に、これを大切にする方法はないと思うようになった。これは、今後私の精神が年とともに重みを加え、円熟を増すようになれば、ずっと容易にできるだろうと期待していたことである。しかし、私は、

   無為は常にさ迷う精神を生む、

 とあるように、精神は逆に離れ駒と同じく、自分のこととなると他人のために動くときよりも百倍も多く心を煩わすことを知っている。また、私には妄想や空想の怪物があまりにもたくさんに、次から次と生まれてくるものだから、私は、これらの愚にもつかぬ奇妙さを、あとでゆっくり眺めようと思って記録することをはじめた。時が経てば、私の精神がそのことで自分自身を恥かしく思うだろうと期待しながら。

モンテーニュ『エセー(1)』


 少し前に「枕草子」を読んで、次は西洋の随筆を読んでみようかなということで手にとってみた。

「枕草子」のように感性的な文章ではなく、さまざまなテーマについて、歴史や伝承、見聞や思索を書きとめていったという印象が強い。

 面白くないわけではないが、淡々としているので、一気に通読して楽しめるという類いの本ではないのかもしれない。図書館で借りたのだけれど手許において気ままに読むほうが向いていると思う。
[モンテーニュ『エセー(1)』]の続きを読む
デビッド・バーンズ『いやな気分よ、さようなら』
〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法
(2004/04/27)
デビッド・D.バーンズ山岡 功一

商品詳細を見る

 認知的な歪みによっていったんうつ病に陥ったら、悪循環により気分と行動がますます落ち込んでいくのです。憂うつな脳が感じることをそれが何であれ信じてしまうので、何もかもが悲観的に思えてきます。このことは十分の一秒の単位で起こり、自分でも全く気づけません。憂うつ気分は現実のように感じられ、その結果、その気分を造り出した歪んだ考え方が真実のように受けとめられるに至るのです。この悪循環はどんどん進み、ついに完全に捕らわれてしまいます。この心の監獄とも言える状態は錯覚であり、自分で作り出したまやかしにすぎませんが、真実のように「感じ」られるからこそ、まるで真実のようにみえるのです。

デビッド・バーンズ『いやな気分よ、さようなら』



 本書は認知療法を使ってうつ病に対処する方法を解説をしたもの。認知療法は行動療法と並んで、効果の見えやすい心理療法と聞いたことがある。

 認知療法ではうつの原因を認知の歪みから生じると考える。例えば、ある一回の失敗から、人生そのものが失敗だと考えてしまうような。

 認知療法はこの自動的に陥っている認知の歪みを合理的な思考で正していく。たった一回の失敗で人生が決まるわけではない、というように。
[デビッド・バーンズ『いやな気分よ、さようなら』]の続きを読む
カレ・ラースン『さよなら、消費社会』
さよなら、消費社会―カルチャー・ジャマーの挑戦さよなら、消費社会―カルチャー・ジャマーの挑戦
(2006/06)
カレ ラースン

商品詳細を見る

 エルビスの悲劇こそが、古くさいアメリカン・ドリームそのものだ。多かれ少なかれぼくらはみんなエルビスなんだ。アメリカ人のように生き急ぎ、不道徳を繰りかえす。全力で生きるということはそういうことだ。そんなライフスタイルこそが「勝ち組」だとされているんだ。そしてぼくらは「消費」を続けている。財布の中身の話だけじゃない。ぼくら自身の身体やこころ、家族やコミュニティ、そして地球環境そのものを「消費」しているんだ。

カレ・ラースン『さよなら、消費社会』


 本書は雑誌「Adbusters」などを発行している著者がマス・メディアや消費社会について疑問を呈するカルチャー・ジャミングという運動を紹介したもの。

 私たちの周りには広告があふれ、何が「クール」で何をすべきかといったことを促し、消費を促している。そしてそういった広告には刺激的な映像や音が使われ、人々は幼いときからそれに浸りきっている。

 マス・メディアでは大企業に不利な情報は抑えられることもあるし、個人はそこへアクセスする手段は限られている。経済成長といっても環境を失うことのコストは計算に入っていない。

 といった感じでマス・メディアと消費社会の害を著者はあげつらっていく。そして本当に必要なのは何か、楽しいことは何なのかという批判意識をもって、自分自身のライフスタイルを選び取るべきだという。
[カレ・ラースン『さよなら、消費社会』]の続きを読む
山本七平『禁忌の聖書学』
禁忌の聖書学 (新潮文庫)禁忌の聖書学 (新潮文庫)
(2000/03)
山本 七平

商品詳細を見る

 聖書がヨーロッパ文学に大きな影響を与えるには、まず聖書自体がヨーロッパ文学の伝統的な形態にならねばならなかった。ユダヤ教徒とカトリック教徒の聖書の中の分け方は違う。一方は律法・預言・諸書であり、他方は
歴史書・教訓書・預言書である。この律法を歴史にしてしまったのはヨセフスだが、この違いは決定的である。というのは、律法ならばそれは時を越えて遵守すべき永遠なる神の掟だが、歴史ならそれは、過去においてこういう掟があったという記録にすぎない。それは継承もしうるし止揚もできるし、過ぎし日の物語として読むこともできる。そうなれば旧約聖書の歴史書の中の面白い物語は、当然にそれ自体が西欧の物語文学として読まれうるし、また文学・美術の素材となりうる。ユダヤ人も後に旧約聖書を法規と説話に分けた。だが説話は西欧文学とはとは別のジャンルに属する文学形態であり、その文学的発展は、年とともに大きな開きを見せるようになった。
 ではヨセフスのやったことを一言でいえばどうなるであろうか。彼は『ユダヤ古代誌』というヘレニズム世界の文学の中に聖書を組み込んでこれをヨーロッパに提供したのである。ここに文学の中の聖書の最初の例があるといってよい。ユダヤ教徒は絶対にそのようなことはしなかったし、するはずもなかった。

山本七平『禁忌の聖書学』


 本書は、聖書が文学や絵画に影響を与えた部分を、原典に当たりながら読み直していくもの。「聖母マリア」や「処女降誕」といった題材がどのように受容されていったのかを辿っていく。

 その他に、ヨセフスが果たした役割や創世記のヨセフ物語、ヨブ記、雅歌、最後の晩餐といったテーマが扱われている。

 現在一般に読まれている聖書はルターが旧約はヘブル語、新約はギリシア語を原典とすべきとしたが、それまで西欧で受容されていたのはギリシア語に訳された「七十人訳聖書」であり、その文学や絵画への影響を考えるには「七十人訳聖書」に当たる必要があるとする。
[山本七平『禁忌の聖書学』]の続きを読む
山本真司『会社を変える戦略』
会社を変える戦略―超MBA流改革トレーニング (講談社現代新書)会社を変える戦略―超MBA流改革トレーニング (講談社現代新書)
(2003/01)
山本 真司

商品詳細を見る

「私はこのガースナーの逸話から学んだんだ。経営者にとっては、従業員は株主と同様に重要な存在だ。賃下げや、あるいはリストラという辛い意思決定も、この気持ちに一切の揺るぎがなければ実行できる。モラールの低下を最小限に食い止めながら必要な措置を実行するのが経営者の務めであり、存在理由でもあるんだ。そのためには心の底から従業員を重要なステークホルダーだと位置づけて、行動でそのことを示しつづけなければならない。従業員は経営者と同様、感情のある人間だ。われわれの本音をすぐに読み取ってしまう。われわれが本気で信念を貫き通す覚悟がないと、いっぺんに人心は遠のく。まずその人格を最大限に尊重しない限り、ついてきてもらうことは不可能だよ。そのためにも私には、本音で重要だと思っている従業員に対して本音のコミュニケーションを続け、彼らの心を私と共感させる義務があると思ってるんだ」

山本真司『会社を変える戦略』


 本書はアメリカで小売業を営む仮想の企業「フレッシュヤマモト」の再建を描きながら、様々な手法を使い復活したアメリカ経済、経営史を振り返るもの。

 SCMなどの手法を解説しながら、次第にEVAといった指標を使ってどのように事業の「選択と集中」行っていくべきかというファイナンス理論を取り入れた手法を解説していく。

 そしてそういった手法を取り入れるときに陥り易い罠をも挙げ、ポストアメリカン・キャピタリズムの経営を見据えてながら物語を語っていく。
[山本真司『会社を変える戦略』]の続きを読む
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。