深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
今野緒雪『マリア様がみてる フェアウェル ブーケ』
マリア様がみてる フェアウェル ブーケ (マリア様がみてるシリーズ)マリア様がみてる フェアウェル ブーケ (マリア様がみてるシリーズ)
今野 緒雪,ひびき 玲音

集英社
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 そういえば最近「マリみて」シリーズの話題がないな、と思って調べたのが1ヶ月ほど前。タイミングよく新刊情報に当たるとは私の勘も満更ではない、と。ただの偶然ですが。

 待望の新刊は、コバルト本誌に掲載された短編を集めて、合間におなじみの山百合会のメンバーのエピソードを「糊代」にして一冊にした、いわゆる「バラエティギフト」形式の短編集です。こういった短編集ももう早5冊目とのこと。

 収録作品は「飴とストレッチ」「プライベートTeacher」「おっぱいクッキー」「昨日の敵」「卒業式まで」の既発表作5編と、「アナウンスメント」「薬香草茶話」、糊代の「フェアウェル ブーケ」部分が書き下ろしになっています。

 以下ネタバレ含みます。
またしても四国
 昨日はNHKラジオで『今日は一日 特撮三昧』を放送していました。『とことん歌う声優コレクション』の高知放送局に続いて高松放送局から生放送だったということで、NHKの層の厚さを感じます。

 私は生憎と途中からしか聴けませんでしたが、短い尺の中で多くの曲が流れ、ウルトラシリーズのBGMワンダバを比較する特集があったりと濃い内容でした。
遠藤周作『ただいま浪人』
ただいま浪人 (講談社文庫 え 1-8)ただいま浪人 (講談社文庫 え 1-8)
遠藤 周作

講談社
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(元気をだして、お父さん)
真理子はそう心のなかで父親に呟きながら、一方、家に戻れない弟の心境も手にとるようにわかり
(いいのよ、帰ってきなさいよ。、心配しないで……)
どこかにいる弟にそう言いつづけていた。
「お母さん」
いつまでも、台所にいる母親に、彼女は
「もう、お休みなさいよ」
母親は何と古い重箱やお皿まで出して、それをふいていたのだった。台所に鯛のおかしらが大皿に置かれているのが、何とも言えず辛かった。信也の合格を信じて菊江が魚屋にたのんだものなのである。
「ねえ、お母さん」
「え?」
「もう、お休みなさいよ。私が……起きているから、大丈夫よ。きっと戻ってくるわよ。そんな意気地なしじゃないもの、あの子は
黙って、うつむいた菊江の眼からポタポタと泪が床におちるのを真理子は見た。
(馬鹿、信也の馬鹿)
彼女はこんなに両親に心配をかける弟に腹が立ち
(私だって、いつまでも、そう甘くないから)
と心のなかで叫ぶのだった。

遠藤周作『ただいま浪人』


『青い小さな葡萄』は久しぶりに読んだ遠藤周作の作品だった。その時に思い出したことは、もう一冊積読になっている作品があることだ。

 私が少しは本を読む人間だと聞きつけた伯母さんがこれでも読みなさいと送ってくれたのが、この『ただいま浪人』だった。しかしその頃はもう遠藤周作から他の作家へ関心が移っていて、ほったらかしたままになっていた。

 しかし久々に遠藤周作を読んでこのことを思い出し、いささかの後ろめたさと懐かしさから、本棚から引っ張り出してきて読むことにしたのだった。
村上宣寛『IQってホントは何なんだ?』
IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実
村上 宣寛

日経BP社
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 キャテルの知能理論で有名なのは、知能が流動的知能Gfと結晶的知能Gcの二つの因子から構成されると考えた事である。流動的知能Gfは生物学的側面のgで、成人以降は減退する。空間能力や速度に関係する知能である。一方、結晶的知能Gcは教育や文化の影響を受けるgで、年齢を重ねても減退せず、むしろ上昇する知能である。言語能力や知識などに関係する知能である。なお、キャテルの分析によると、流動的知能と結晶的知能の相関は0.5程度あるので、上位因子として一般知能gが見いだされる。

村上宣寛『IQってホントは何なんだ?』


『「心理テスト」はウソでした』がおもしろかったので、引き続いて同じ著者によるこちらの本も手に取ってみることにした。

 特にミステリなどの漫画などでは、主人公の頭脳の明晰さを表現するためにIQ(知能指数)がしばしば登場し、その数値も180とか200とか、インフレ化している印象を持っていた。

 しかし実際のところ、それがどのようなものでどのように測定されるものなのか、問われれば言葉に詰まってしまう。(偏差値とごっちゃになって、標準偏差は10だと思っていたし)。その辺りをはっきり知るのも面白そうだと思ったのだ。
下條信輔『まなざしの誕生』
まなざしの誕生―赤ちゃん学革命まなざしの誕生―赤ちゃん学革命
下條 信輔

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 たとえば、このマシンは最初、知性を持った個体とただのものの区別や、自分自身とほかの個体との区別さえおぼつかないかも知れない。しかしやがて――多少の前提条件を置けばの話だが――、それらのものにはたらきかけたときの応答性のはっきりしたちがいに気がついて、おおざっぱな区別をはじめるようになる。つまり、まったくののっぺらぼうの一般性の中から、一番基本的な特殊性を形成しはじめる。
 そして前にも示したとおり、この特殊性はそれ自体ふたたびひとつの一般性(地)となり、動物と人間のちがい、さわることと見ることの違い、音と言語音のちがいなどの新しい特殊性(図)の分化する土台となっていく。ことばや数字を扱う能力については、それほどあわてなくても、こうした基本的な世界観や社会的スキルが十分に発達したあとで、ゆっくりと学ぶ機会があるだろう。
 こうして、次のような逆説的な構図が浮かびあがってくる。――つまり、学ぶ能力や知能については、周辺的な機能にすぎないと思われたインターフェース/コミュニケーションの機能が、本当はそれらの中核にあり、逆に中核にあると思われた文法能力や計算能力などは、じつは周辺的な機能にすぎないと言えるのではないかと。

下條信輔『まなざしの誕生』


『サブリミナル・インパクト』のところでも触れたが、たまたま新古書店で見つけた『サブリミナル・マインド』は私に学問としての心理学ってこんなにずっとおもしろいものなんだと思わせてくれた一冊だった。

 この『まなざしの誕生』は、その著者が20年以上前、30歳を過ぎた頃に書き上げた意欲作で、2006年に新装版として出版されたものになる。

「赤ちゃん学革命」というサブタイトルが示すように、赤ちゃんがどのような感覚を持っていて、どのように学び、発達していくか、当時の最新の研究がレビューされている。そして、ただただ未熟な存在だとされがちな従来の赤ちゃん像に代わる、新しい赤ちゃんのイメージをつくりあげようという著者の意気込みの伝わってくる刺激的な内容になっている。